不愉快な同僚
―――ジリリリリリリr………。
「朝か……。」
今日もテンション低めで目が覚める。
このまま、起き上がりたくない……。
数分……いや、実際には数秒だった。
頭がぼやけすぎていて、時間の感覚がはっきりしない。
数秒の間、眠りと目覚めの間を行き来し、目を開ける。
体を起こし、朝の支度を済ませ、食事を取った。
出勤し、職場に着く。
いつも通りだ。
着替えを済ませ、仕事を開始する。
いつもと同じように午前中の仕事が終わり、休憩を取る。
午後の仕事が始まる。
就業時間を終えるまでいつも通りに仕事をし、時間がきたら帰る。
――そのはずだったのだが……今日は少し違った……。
俺も人のことは言えないかもしれないが、不真面目で仕事中も遊んでばかり、さらには騒がしいので、まずこちらから進んで話し掛けることはないのだが……。
「あ、瀬濃さん。聞きましたよー。あの話。」
とある二人が話し掛けてきた。
ニヤニヤと笑いながら、近付いてくる。
それだけでも不愉快なのだが、いったい何を聞いたというのだろうか?
「相野さんになんか、酷いことしたらしいじゃないっすかぁ?」
もう一人のやつが続ける。
そういって、二人でケラケラと笑いだす。
「え?なんかぁ?ストーカーっていうの?なんかそんな感じのやつっすよ。」
全く身に覚えがない。
いつの間にそんな話になっていたのだろうか?
「いや、知らないですね。なんのことですか?」
俺は正直に返答する。
二人はさらにケラケラと笑う。
「なに言ってんすかぁ?なんか、相野さんが陰でみんなの悪口を言ってるとかみんなに告げ口したって聞いてるっすよ?」
ああ、なんかそんな話があったな……。
気に食わん。
俺はそんなこと、全く知らんのだから……。
「そんでー、ずっとストーカーしてて、その逆恨みかなんかからそんなことしたとか何とか?聞いた話なんで、よく覚えてないっすけど、マジクズじゃないっすか?」
そんなことを言いながら、また二人でケラケラと笑う。
聞いただけで、しかもよく覚えてもいないような話を俺にしないで欲しい。
それに、その話が本当なら、お前らみたいなやつに真っ先にその話が伝わっているだろう。
ものすごい時間差だ。
「俺は、全く知らないですね、そんなの……。」
冷たい目を向けて、否定する。
「へぇ、そっすかぁ。」
ニヤニヤと笑いながら立ち去っていく。
まったくもって不愉快だ。
怒りが湧き上がってくる。
仕事に戻り、帰りの時間を待つ。
そのあとは特に何もなく、いつも通りに仕事が終わり、いつも通り帰宅した。
家に着いたあとも、不真面目な二人に言われたことを思い返し、さらには相野さんのことも思い出してしまい、嫌な気持ちになった。
それでもいつも通り、特に美味くもない食事を済ませ、嫌なものを洗い流すために風呂に入り、少しでも不快な思いをする時間を削るために、早めに眠った。