始まりの朝
――――さん……。
…………ラさん!
「アイラさん!」
「――はっ!」
目を開く。
「おはようございます!朝ですよ……?」
「あ……見慣れた天井だ……。」
そんな下らない事を呟いて、目を覚ます。
「――え?なんて……?」
目を開くなり、よく分からない事を呟いた俺を起こしてくれた少女は、首を傾げキョトンとしている。
「……いや、何でもない。おはよう。」
目を覚まし、一番初めに目に入った少女に、寝起きでまだぼうっとした意識のままで微笑みかける。
こっちの世界の人間である彼女に説明したところで、この冗談の意味は伝わらないだろう。
「今日は一緒に頑張るって約束したじゃないですか!」
俺が目を覚ましたのを確認した少女は、やる気満々といった様子でそう訴え掛けてくる。
「……えっと、今日の予定か……。んー……なんだっけ……?」
完全に覚め切っていない俺の頭と視界は、まだボヤけている。
下らない冗談は言えるのに、彼女の言う予定に関してはなかなか回路が繋がらない。
そのため、どんな予定だったか聞いてみた。
「……もう。しっかりして下さい!」
少し拗ねた様子で、小さく頬を膨らませて怒られる。
「まったく……朝ご飯、もう出来てますよ? 冷める前に食べに行かないと、ミオさんに怒られちゃいますよ?」
おっと、それはまずい。
今、目の前にいるこの少女を怒らせるよりも、朝食を作って待ってくれている彼女を怒らせる方が、ずっと怖い。
「分かった。すぐ行く。」
「はい、待ってますね?」
返答し、少女は部屋を出ていく。
……俺は当然、二度寝する……
わけにもいかず、すぐに着替えをし、支度を済ませ、食事の席に向かう。