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董卓の娘  作者: 神奈いです
第一章 黄河の北で

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山賊

・土曜日1回目の投稿です

「山賊だーー!!」



教団本部になんか見たことないガラの悪そうな武装したオジサン、オニイサンが百人ちかくも押し寄せてきてるそうです。



「ま、ま、ま、待ってください。まだ山賊と決めつけたものじゃ」


信者さんたちが怪訝な目で私を見ます。


えっと……


「お友達になろうと思ってるのかもしれません!」


「みなさん!とりあえず武器になりそうなものをもって、まっすぐかこいのほうへ!護衛の皆さんは巫女様を守ってください!」

「わかっただよ!」

「ははっ!!」


公明コウメイくんが手早く指示を出し、みんなが村の防衛を固め始めました。


……無視しないでーー。



……



……



とりあえず、いきなり戦うというのは野蛮すぎます。人間らしくまずは言葉を使って交渉して、穏便に帰ってもらいましょう。




山賊(未鑑定)さんたちが村の入り口に陣取りました。


「あのう、帰ってもらえませんか」


よろいをつけて武装した公明コウメイくんや、董家の護衛わかいしゅうの後ろから、優しく語りかけます。



「いやぁ、来たばかりじゃけぇ、帰るわけにゃあいかんで」


山賊さん(未鑑定)の中から一人、熊みたいな体つきの人が出てきました。顔つきはまだ中年だと思いますが、頭頂はすっかりハゲていて代わりに口髭がモジャモジャしています。


「えっと、お嬢ちゃん。オタクの大将と話しがあってきたんじや。大将はどちらじゃね?」

「こちらが我らの巫女様だ!無礼は許しません!」


公明コウメイくんが甲を震わせて噛みつきます。いったいどこで手に入れたのかと思ったら、こんなこともあろうかと李傕リカク郭汜カクシさんから借りていたとか。



「はい、一応代表は私ですが。お話とは?」

仮称ハゲ熊さんに語りかけます。


「おお、河伯は若くてきれいな巫女様が大将だとは聞いとったが、ホンマじゃったか」

うんうん、私が美女なのはしょうがないですね。


仮称ハゲ熊さんはニヤリと笑って続けました。

「いや、悪い話じゃあらせん。友達になりに来たんじゃ」


……


「ほらー!私の言った通りですよね?!」

「申し訳ありません!」



「へっ……?」

「えっ……?」


素直に謝る公明くんや信者さんたちに勝ちほこる私をみて、ハゲ熊さんたちはなんかポカーンとしていました。




……



……



野外に椅子を並べて、山賊(未鑑定)さんと、河伯教団の代表で話し合いを始めました。

私は村に入れようかと思ったんですが、公明くんが「まだ信用できません」と外に設置したのです。



「では、うちで作ったよーぐるとでもどうぞ」

「おお、美味いのう。ありがてぇ」


まずは遠路をお飲み物でもてなして、一息ついてからさて、とハゲ熊さんが口を開きました。


「河伯の巫女様には初めてお目にかかるで。ワシは白波谷ハクハコクヨウ、名はホウってもんじゃ。楊将軍と名乗っとる」

「初めまして楊将軍。河伯の巫女です」


……楊奉ヨウホウ将軍?なんか聞いたことが有りますね。三国志の初期に出てたはずです。一瞬だけ独立勢力の主になってて、そうそう。部下の徐晃ジョコウさんのほうが有名なんですよね。


「先からのお上のなさりようは目に余るもんじゃ、そう思やせんかの。宦官は悪事を働き、役人は賄賂をせびり、県令けんちじは民を絞ることしか考えておらんで」

「まぁ、民のことを考えてる人は少ないですね」

「そのとおりじゃ。このような状態では、仁義のためにたちあがるのがおとこってもんじゃ」

「はぁ」


なんかハゲ熊さん……じゃなくて楊奉さんは熱く語ってますが、一般論なのかあまりピンときません。


「しかし、河東郡の太守は器の小さい男じゃでな。仁義も理解せずにワシらを討伐するといきまいとる」

「大変ですね、がんばってください」


私は他人事のように言います。

まぁ、他人事というか他人事ですよね。山賊さんに縁はないですし。董卓パパが太守だったらとっくに討伐されてますよ。


「……いやいや、だからワシらが同盟して太守に立ち向かわんといかんのじゃ。共に戦わんか」

「え、嫌ですよ。なんで私が」


即座に却下します。なんで山賊といっしょに官軍と戦わないといけないんですか。



「……ひょっとして気づいとらせんのか……、討伐されるんは河伯のとこも一緒じゃぞ」

「なんで?!ウチ、山賊じゃないですよ!?」


楊奉さんが意外そうにいいますが、意外なのはこっちです。なんでですか!


「いやいや、こがいに山の中にあちこちの農民集めて、武装しとってか?」

「難民さんとつつましく山の幸で暮らしてて、武装は自衛用です!」


私の必死の反論に、楊奉さんが声を落として、真剣な顔で聞いてきました。


「……まさか、税を払っとるんか?」

「……払ってませんね……」



迂闊うかつぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!!!!!


私も山賊だったぁぁぁぁぁ?!!!



・なんということでしょう。

・いいねくーださい♪




・白波谷は平陽の近くです。

挿絵(By みてみん)

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現行連載作  迷宮伯嫡子はカネがない

大借金で領地取りつぶしの危機である。頼れる親や重臣たちは外出中、財布は空で留守番役。
状況を切り抜ける特別なご加護や卓越した武勇や超魔力なんかもない。
そんな状況だけどボクは前向きに取り組んでいく。
まずは軍資金ゼロで軍隊を動員?できなきゃ領地は大変だ?
― 新着の感想 ―
[一言] 巫女様が山賊だったー!には笑わさせて頂きました。 久しぶりに素晴らしい作家さんに巡り会えて良かったです。 今後のご活躍に期待しております。
[良い点] あー、これは悪役令嬢ですわ(納得
[一言] 村作ってたら山賊の村になったw 河伯の巫女が山賊の巫女になってて爆笑www
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