9 自殺少女は公式カップルになる
公認に
「お、おはよー。はっしー・・・え?」
「ん?ああ、おはよう。坂井。どうかしたのか?」
彼女と片倉と一緒に教室に入ると何故か唖然とする我が友の坂井。いや、クラス中が僕と彼女のセットプラス片倉を見て唖然としているので自然と状況を把握できた。ようするに孤高のヒロインがクラスの地味にうるさい奴とセットで来たのが原因だろう。
そんなことを思っていると、ささっと僕の肩を掴んだ坂井と数名が僕を囲んで聞いてきた。
「おいおい、はっしー。話が違うじゃないか」
「おいおい、坂井。なんだよいきなり」
「いやいや、お前はなんだって、あの学校一の美少女と仲良く登校なんてしたんだ」
「色々あってね」
「何があればモテない同盟のNo.3のお前が美少女とお近づきになれるのかたっぷり聞かせてもらおうか」
皆わりとマジで怖い形相だが、僕は敵意がないことをアピールするために両手を上げて言った。
「まあまあ、落ち着いて。とりあえずココアでも飲む?」
「いらないわ!つうかなんでココア?」
「コーヒーだと授業中寝れないでしょ?」
「居眠り前提だと!」
「あ、あの!」
そんな問答をしていると、心配したのか彼女が声を上げてくれた。やれやれ少しは事態が終息するかと思っていると彼女は顔を赤くしながら言った。
「わ、私がのぞみくんの側に居たいと言ったんです!」
OK、事態がややこしくなる火種をありがとう。間違いなく勘違いされたと思っていると目の前の坂井は何やら悔し涙を浮かべていた。
「側に居たいと言われた上に名前呼び・・・何故だ!何故こんなに格差ができたんだ!昨日までは同じステージにいたはずなのに何故!」
「んー坂井くんの場合言動がキモいからかなー」
「片倉。トドメをさすな」
あまりの言葉の威力に灰になる坂井をスルーして近づいてきた彼女は申し訳なさそうにこちらを見て言った。
「すみません、のぞみくん。色々迷惑を・・・」
「大丈夫だよ。僕こそ友人が悪いね。こいつは女の子にモテたい衝動が強すぎるから」
「下半身が本体だよねー」
「片倉さんよ。あまり言ってやるな」
しくしくする坂井をスルーして彼女は言った。
「でも私、頑張ります!のぞみくんの側にいたいですから!」
「あ、ああ。ありがとう。恵」
「にっしっしー、なんだかラブラブだねー」
そう笑ってから片倉は皆を見回して大声で言った。
「みーんなー!はっしーと、恵は付き合ってるから野暮な真似はNGだぜー!」
「ふぇ!?奈緒何を・・・」
「にっしっしー、やっぱりこういうことは皆に伝えておかないと。あ、あとはっしー意外と人気あるから気をつけたほうがいいよーん」
「そ、そうなんですか?」
「こらこらデマを教えるな」
僕がモテるなんてあり得ないことを教えてるので注意するが無視して二人で話していた。
「これではっしーと恵はクラス公認のカップル。目指せ学校一のカップル!」
「が、頑張ります!」
何やら変な流れだが皆がなんか納得したようにこちらを見ていたのが印象深かった。『リア充爆発しろ』っと。そんな意味にとれたのだった。そんな感じでこの日から僕と彼女はクラスの公認カップルになったのだった。