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6 自殺少女はアタックする

少しずつ積極的になります


ピンポーン!


翌朝の6時、弁当の準備をしていると、この時間に鳴るはずのないインターフォンが鳴らされた。手を洗ってから玄関に向かうと、ドア越しに昨日出会った彼女の姿があった。僕は鍵を開けると彼女に挨拶をする。


「おはよう、昨日はよく眠れた?」

「お、おはよう、ございます!」

「うんうん、元気でよろしい。ま、とりあえず入りなよ。朝ごはんまだだよね?」

「は、はい。失礼します」


そう言ってから入ってくる彼女。とりあえず朝なのでコーヒーをいれてから彼女に持ってくと彼女はそれを受け取ってから一瞬だけ苦そうな表情をした。


「ごめん、ごめん。砂糖とミルクいるね」

「あ、すみません・・・」

「いや、家は僕しかコーヒー飲まないからついブラックで出しちゃってね」


そう言ってから僕は砂糖とミルクを彼女に渡してから彼女が飲むのを見ながら言った。


「そうそう、君の同居の件。君の両親はOKしてくれたよ」

「ほ、本当ですか?」

「ああ、録音してあるけど聞く?」

「いえ、大丈夫です。のぞみくんを信じます」

「そう?あ、それと母さんと妹の許可も得たからあとは君だけだよ」

「一晩で私のためにそこまで・・・」


何やら嬉しそうにする彼女。そこまで大したことはやってないんだが、まあいいか。


「それでどうする?」

「もちろんお願いします!のぞみくんの側にいたいです!」

「そ、そう?」


えらい勢いで肯定されて驚くが彼女は何やらまるで夢が叶ったような幸せな表情で呟いた。


「えへへ・・・これでのぞみくんとずっと一緒・・・」


ずっとかどうかはわからないが少なくともそれなりには長い付き合いになりそうだ。まあ、彼女が恋仲にでもなってくれれば嬉しいがそこまで贅沢は言うまい。


「さて、じゃあ部屋は用意してあるから引っ越しの作業をしないとね。持ってくるものは結構あるの?」

「いえ、そこまでないです。服とかちょっとした小物くらいでしょうか」

「なら、帰りに手伝うよ。とりあえずは朝ごはんだけど弁当も作ってあるから持って行ってね」

「ありがとうございます、のぞみくん。あのその前にお願いしてもいいですか?」

「何かな?」


そう聞くと彼女はもじもじしてから決意したように言った。


「あの・・・部屋を見せて貰ってもいいですか?」





我が家は二階建ての一軒家だ。一応全員分の部屋にプラスして空き部屋が二部屋。そのうちの一つは亡くなった父さんの部屋だがもうひとつは長らく使われていなかった。一時期倉庫にもなっていたが、なんとなくもっと他に使い道があると思い前から片付けていたので綺麗な状態である。二階の僕の隣の部屋。その空き部屋を見て彼女は呟いた。


「ここが私の・・・」

「そう、思ったより狭くてごめんね」

「いえ、そんなこと・・・ただ、嬉しくなっちゃって」

「嬉しい?」


その言葉に頷いてから彼女は言った。


「ずっと一人しかいない部屋で、ずっと一人だったので、その・・・誰かと住んでるって思うと嬉しくて」

「そうなんだ。一応隣が僕の部屋だから何かあれば言ってよ」「のぞみくんの隣の部屋なんですか?」

「ああ、嫌なら変わってもらうけど・・・」

「そ、そんなことないです!」


思ったより強い否定に驚いていると、彼女は嬉しそうに微笑んで言った。


「隣がのぞみくんだと凄く安心できます。だからここがいいです」

「そう?ならいいけど」

「あ、あの・・・のぞみくんの部屋見てもいいですか?」

「いいけど・・・幻滅するかもしれないよ?」


そう言うと彼女はガッツポーズで言った。


「だ、大丈夫です!のぞみくんも男の子だからえっちな本とかあっても幻滅しません!」

「いやいや、少しは幻滅してよ。というか僕に関してはそういうものはあんまりないから」

「す、少しはあるのですか?」

「ああ、とは言っても少女漫画みたいな奴だけだよ」


そう言うとほっとする彼女。なんだか見てて面白いし可愛いと思いながら僕は朝の光景を楽しむのだった。









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