表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/15

15 自殺少女は歓迎される

歓迎会


「恵ちゃんいらっしゃーい!」


夕飯が始まる前にクラッカーまで用意して母さんと和泉がパーティー風に彼女を歓迎していた。後でクラッカーのゴミを片付けるのは僕の仕事だが、それを言うほど無粋ではない。


「いやーしっかし、恵ちゃんが家で暮らしてくれるなんて嬉しいわー」

「そ、そうですか?」

「ええ、念願の息子のお嫁さんですもの」

「ふぇ!?お、お嫁さんって・・・」

「母さん、あんまりからかわない。僕は嬉しいけど恵は困るでしょ」


そう言うと母さんは微笑んで言った。


「のぞみ。わかってるのに惚けるのはお母さん感心しないわね」

「何のことやら」

「まあ、そのうちわかるでしょう。ちなみにのぞみの部屋はわりと防音効いてるからそれなりの音量までなら大丈夫よ」

「母さん。完全にセクハラだからそれ」


いらない知識を貰ってしまった。しかもわざわざ僕の部屋でというあたりがなんともいやらしい。彼女はなんとなく察したのは顔を赤くしているし。普通わからないものじゃないのかな?いや、今の若いこは情報を得やすい環境にいるから仕方ないのかもしれない。


「ねえねぇ、恵お姉ちゃん」

「なあに?」

「恵お姉ちゃんはお兄ちゃんの彼女なの?」

「今は違うよ」

「ぶー、恵お姉ちゃんに聞いたのになんでお兄ちゃんが答えるの?」

「それはね。その質問に顔を赤くする恵お姉ちゃんのためだよ」


どうやっても話題が恋話にいく。まあ、仕方ないのかもしれないけど、どうしてもこの二人は別の意味で家族として迎えたいようだ。僕としてはそれでもいいけど、彼女を無視して事を運ぶのは良くないだろう。


「ま、とりあえず食べようか。恵も好きなだけ食べてよ。デザートもあるしね」

「デザートですか?」

「好きだって言ってたでしょ。甘いもの」

「はい。太りやすいので甘いものは控えてるのですが・・・たまに食べちゃって」

「恵はスタイルいいと思うけど、ならそうだね。カロリー計算して出来るだけカロリー控えめで作ってみるよ」


そう言うと嬉しそうに頬を緩める彼女。


「ありがとうございます。のぞみくん」

「このくらいなんでもないよ。それよりも食べたいもののリクエストとかあったらいつでも言ってよ」

「いいのですか?」

「うん。もちろん」


そんな風にして初日の食事は始まった。時折母さんと和泉からの攻撃に顔を赤くすること何回か。それでも平穏に過ぎたことはよかった。こうして彼女が楽しそうにしている姿を見ると僕も元気になれる。いつもの演技ではなくそれなりに自分の素の部分を出せて楽だ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ