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13 自殺少女はプレゼントしたい

感謝を形に


「あ、ごめん。僕はそろそろ買い物に行くよ」


ゲームセンターを満喫している二人にそう言うと片倉が露骨に嫌そうに言った。


「はっしー、ノリ悪いよー」

「仕方ないだろ?そろそろ買い物いかないと夕飯間に合わないから」

「あ、あのでしたら最後に何かプレゼントさせてください」

「プレゼント?」

「はい!なんでも取りますよ」


どうやらUFOキャッチャーらしい。なんか普通は男がやりそうなことだけど、可愛い言葉に思わず微笑んで言った。


「それなら、恵が気に入ったものをお揃いでくれるかな?」

「え?」

「お、はっしー大胆だね」

「せっかくならね。僕も恵に渡したいものがあるから」

「渡したいものですか?」

「ま、とりあえず気に入ったやつ選んでよ」

「はい!」


意気揚々とUFOキャッチャーを見てまわる彼女。それを見て笑っていると、片倉が近づいてきて言った。


「恵って可愛いねー」

「でしょ」

「はっしーが好きになったのもわかる気がするよ」

「片倉なら恵の友達として合いそうだと思ったんだけど正解みたいでほっとしてるよ」

「まあねぇ、それよりはっしーはどんなきっかけで恵と仲良くなったの?」


どんなか。流石にありのままは話せないので僕は簡単に言った。


「たまたま図書館で会ってね。絵本コーナーで意気投合したんだ」

「はっしー、そんなにファンシーだっけ?」

「妹もいるし」

「和泉ちゃん小学生でしょ?」

「ま、秘密ってこと」


そう言うと片倉はため息をついて言った。


「まあいいけどね。それより恵がえらくファンシーなぬいぐるみを持ってこっちに走ってきてるけど大丈夫かな?」


その言葉通り彼女は可愛いぬいぐるみを二つ持ってきていた。


「はい、のぞみくんの分です」

「ありがとう。可愛いね」

「だねー、恵は可愛いねー」

「ふぇ!?」

「否定はしないけどぬいぐるみの感想でもあるからね」


そうして受け取ったウサギのぬいぐるみは色違いで、僕が青で彼女がピンクのウサギだった。それを受け取ってから僕は片倉に視線を向けて言った。


「片倉、ちょっと恵借りるから、終わったら遅くならないように帰れよ」

「大丈夫だって」


そうして外に出てから周りを見てから僕は彼女の手に金属質なものを手渡して言った。


「今日帰ってきたらこれで鍵あけて」

「え・・・これって、のぞみくんの家の鍵ですか?」

「そうだよ。無くなさないようにね」

「で、でもいいんですか?私が貰って」

「当たり前だよ。今日から恵の家でもあるんだから。荷物多かったら電話してよ。迎えにいくから」

「のぞみくん・・・はい!」


大事そうに鍵を握りしめて言った。


「絶対無くしません。約束です」

「うん、約束」


何年ぶりか指切りをする。彼女の手柔らかさに驚きつつもそうして僕は彼女にまた一つ大切なものを預けるのだった。ここまで信頼してしまうのもどうかと思わなくはないが、きっと大丈夫という気持ちが強くあった。



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