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1 自殺少女を変える時

思いつきすぎるけど、物騒なタイトルですみません(>_<)いつもの甘い奴になる予定。

16年間生きてきて僕が思うのは、世の中というのはバランスだと思う。虐げる側と虐げられる側。平等と唱いながら、その実はきちんとパワーバランスが取られる世の中は結局独裁政治から進歩しているのだろうか。


いや、そんな小難しいことは言わない方がいいだろう。


簡単に言えば学校にしろ、社会にしろ人間というのは優劣をつけたがる生き物だと言うことだ。それが悪いことだとは言わないがそこから生じる出来事にはプラスの側面が少ないということだ。


確かに優劣をバネに伸びる人間というのはいるが、人間誰しもそんな鋼のメンタルは持ってない。中には不当な差別を受けて潰れてしまう人間もいることを忘れてはいけない。さて、そうなると結局どうあってもこの世を否定するとになるが、それは早計だ。


そこから生じる理想を追う人間の妄想というのはあながち馬鹿に出来ないものもある。それが他人と噛み合って爆発的な人気を勝ち得る二次創作というものが世の中にはある。


つまり何が言いたいかと言えば・・・


「おーい、学校で自殺はやめときなよー」


何故か僕は現在自殺の抑止に励んでおります。なんでだろうね。僕は屋上で気持ちよく読書をしたかっただけなのに。


目の前にはフェンスを越えて飛び降りようとするクラスメイトの少女の姿が。透き通る長い銀髪はまさに二次元のような神々しさを出している生粋の美少女は俺の言葉に濁った瞳を向けて聞いてきた。


「・・・あなたに関係ありますか?」

「流石に目の前で自殺しようとする女の子を止めないわけにはいかないでしょ。クラスメイトだし」

「・・・クラスメイト?あなたもしかしていつもギャーギャーうるさい連中の仲間?」


その確認に少しだけ悲しくなる。確かに、僕、橋本(はしもと)のぞみ、16才の高校一年生は自分でも言いたくなるようなうるさい人間だと思う。表向きは。もちろん裏ではただの陰キャですよ。そんなキャラクター認識に思わずため息をついてから僕は聞いた。


「何があったのか知りませんが流石に自殺はやめたほうがいいよ。ご家族が泣くよ?」

「ほっといてください。私のことなんて誰も愛してくれてないんですから。お父様もお母様も外で愛人との逢瀬に励んでいますし、友達もこんな容姿だから出来ませんし、男の人は私のことを変な目で見てくるしもう嫌なんです」


随分とブルーな様子だが、まあ大方事情は把握できた。つまり孤独で寂しいと。そうなると・・・


「あー、なら愛してくれる人がいればいいのか?」

「え?」

「だから、お前を愛する人がいればいいのかって聞いたの」

「なんですか、あなたが付き合うとでも言うのですか」


警戒したようにこちらを見てくるその子に僕は笑ってから言った。


「ま、それは君が決めてくれればいいさ。最初は無難に友達からでどう?」

「・・・騙されません、そう言って身体が目当てなんでしょう」

「信じないならそれでもいいさ。でも、僕は君が羨ましいからね。憧れさえ抱くよ」

「なんですか、憧れって」


その言葉に僕は少しだけ苦笑しながら答えた。


「だって、君はまだ人間に希望を抱いているんだろ?優しい人だと心底思うよ」

「まるで自分は諦めてるとでも言いたげですね」

「そりゃそうだよ。でなければこんなに分厚い仮面を被ったりしないさ」

「仮面?」

「うん、だって君が知ってるうるさい僕の姿は現実に諦めて寄せた仮面だからね」


その言葉に目を丸くしている彼女に僕は言った。


「実はね、僕は小、中学校ともに手酷く虐めを受けていてね。だから高校ではそうならないように壁を作ったんだ」

「虐めって・・・あなたがですか?」

「まあね。何度も自殺しようと思ったよ。でもやめた」

「何故ですか?」

「僕の家は母子家庭なんだ。だから母さんと幼い妹を残して死ぬわけにはいかなかったからね」


本当に辛かったけど、耐えて耐えて耐え抜いた。道具に手を出されると証拠が残るのであまり学校には物は持ってかないでなるべく消耗を抑えた。


そんな僕の言葉に唖然とする彼女に僕は近づいてからなるべく笑顔で言った。


「だから、君ももう少しだけ頑張ってみない?もしくは誰も愛してくれないなら僕に愛されてみない?」

「・・・どうしてそこまで」

「うーん、君みたいな心の綺麗な人を見殺しにはしたくないからね」


そう言うと彼女は少しだけ恥ずかしそうに頬を染めてからフェンスを越えてこちらに近づいてくるとポツリと言った。


「・・・本当に私を愛してくれるの?」

「もちろん。約束するよ」

「本当に私の愛を受け止めてくれるの?」

「ああ、約束する」

「じゃあ・・・私のこと好き?」

「君の中身はもちろん外見も好みだよ」


そう言うと彼女は顔を赤くしながらポツリと呟いた。


「・・・名前は?」

「僕?僕は橋本のぞみ」

「そう、私は名倉恵(なくらめぐみ)


それが、僕と彼女との出会いだった。

そしてそこから彼女が所謂ヤンデレという奴に変化するのにそんなに時間はかからなかったことだけ言っておこう。








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