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雨中の胸中

作者: はるき

 「今日は生憎のお天気です。」だと。

そんなこと言われなくてもわかるよと言いたいところだが相手は意思を持たぬ無機物だ、止そう。

行き場のない感情からか、ただ単に寝起きだからかカフスボタンが上手く閉まらず、そのままキッチンへ向かう。


 そもそも「生憎のお天気」という表現は如何なのか。

「生憎」なんて文言は主観的な好き嫌いの話だ。

雨が降ると生憎なんて思われてしまうのは固定観念だろう。

そんなことを思っているのは果たしてこの台本を書いた人間なのか、この俗に言うお天気お姉さんなのか、それとも世間か。

おそらく全てだ。

きっとみんな思っているのだろう。

だがお天気お姉さんが公共の電波で言うべきではない。

出かけようとしていた行楽シーズンの各家庭の親に言わせてあげろ。

お前ごときが世間を代表して言うべきではない。

生憎のお天気だとも思っていないのに勝手にその価値観を押し付けられ、どんよりさせられてしてしまっているのだ。

そんなことダラダラと考えている自分も「生憎のお天気」で天候が何か伝わるものなのである、生憎。




 雨は良い。

雨のおかげでこの世の生態系が成り立っている、なんてことを言いたい訳ではない。

雨が降ると風景は元あるべき姿に戻るのである。

自分の視界に映るものが全てが潤い色を増す。

足元の水たまりに気を取られてるような人間にはわからないだろう。

だから雨は良い。




 朝から思考の渦に嵌り、気づけば食パンの最後の一口を頬ばり、コーヒーで嚥下している。

もう一杯飲もうかと腰を上げキッチンへ向かったものの気が変わりそのままシンクに置き、水で軽くすすぐ。



 時刻は7:30。未だ見慣れない腕時計で確認する。

荷物を持ち、駅へ向かう。

片手に会社の荷物、片手には傘。

足元には泥のついた革靴と裾。

やっぱり雨はそんなに良くねえわ。


なんだこれ。

まあ、1人でも何か感じてもらえたら嬉しいです。

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