~質問は単刀直入に~
「ケンジー!順番来たっすよー」
2人は並んでギルド内に入っていった。中も中で人混みが凄く、少しでもはぐれたらお互い一生会えないのではないかと言うくらいの勢いだった。
「やっぱり、こういうところと言えば可愛い受付嬢っすよねー」
そんな中でもニヤニヤしながら呑気に話すフミヤを健治は呆れた目で見ながらギルドと言えば依頼掲示板ということで少し覗くことにした。そこでもやはり人だかりが凄かったが健治は一応背は高い方なので隙間から覗く事が出来た。その一方、背の低いフミヤは見ることを諦め明後日の方を向いていた。今回は依頼を受けるつもりは無いのだがいざ受けるって言う時はこの人混みだと色々な争いが起きないか少し不安になってくる。それにしても、
「色んな依頼があるんだなー」
「見てみて!あの子かわいい!」
健治は思わずため息が漏れそうになるのを凄く体力を使って止めた。話が噛み合ってなさすぎる。どうやら、フミヤといると本来の目的を見失いそうになるらしい。チャッピーの事を聞きに来たって言うのにいつの間にやら覗くつもりが依頼掲示板をガッツリ見てしまっていたのだ。
「俺、ちょっと質問してくる」
健治が右端のカウンターへ向かおうとすると、フミヤが洋服の裾を力強く掴んできて止めてきた。
「ぬけがけはズルいよ!!俺も行く」
「そんなんじゃねぇよ!!」
何かと思ったらどこまでも可愛い女の子を求めているフミヤなのだった。ああもったいない。金髪の髪にキリッとした眉、黙ってたらモテると思うのだが…。
「今、失礼な事考えなかったー?」
「別に」
全く変な勘が鋭いやつめ。
人混みを抜けてカウンター前まで来るといかにもフミヤ好みの可愛い女の子が立っていた。勿論、健治も男だ。ドキドキしないはずがない。こういう時に発動するのはやはりスキルコミュ障ってものだ。
「ずみばぜんっっ!このこっあの、質問いいでっか!?」
「なにこれうけるー」
健治だってこんな痴態はおかしたくないのだ。なのにこの口が勝手に!
「質問ですね。どのようなことでしょうか?」
どうやら、この世界の女性はみんな天使なようだ。健治はいつの間にやら硬く握っていた握りこぶしが徐々に緩んでいくのを感じた。
「あの、俺テイマーなんですけど、その、この子って消滅しちゃうんですか?」
ちょっと単刀直入過ぎたかと反省したがやっぱりハッキリさせておきたかった。
それを聞いたカウンターの女性はいかにも気の毒そうに形の整った眉を寄せるとこう告げた
「それはですね…」
今回は半分健治とフミヤのギャグ回っぽくなってしまいました^^;