#13 渡辺先生との模擬戦Ⅱ
無属性の魔法とは
属性を必要としない瞬間移動、身体強化など、を使うことができる。
だが、あまり戦闘向きではない。
講堂は周りが観客席みたいなところで、中は闘技場みたいになっています。
先手を打ってきたのは、渡辺先生だった。
渡辺先生の武器は、両手剣で渡辺先生が真上から振り下ろした攻撃を
片手剣で防ごうとすると、奏多の片手が吹っ飛ぶビジョンが浮かんだ。
そのビジョンが浮かんだと同時に、すぐに防御から回避行動に移っていた。
渡辺先生の振るった剣を躱すと、真横で講堂の地面の石が壊れていく音が聞こえた。
奏多は躱して、自分の元居た場所を見ると、10mほどの斬撃が飛んだ跡があり講堂の
地面が真っ二つに分かれていた。 それを見た奏多は
(・・・?! これを、まともに俺の剣で受けてたら、確実に腕が飛ばされ
てたな・・・・・・)
「おぉ、やるじゃねぇか。」
「それは、お互い様ですよ・・・・・・」
渡辺先生は余裕の笑みを浮かべていたが奏多は、切羽詰まっていて次の戦略を考えていた。
考えている暇を渡辺先生は与えてくれるはずもなく、さっきと同じ威力の剣を奏多に向けて
何度も何度も振るっていた。
だがそれを渡辺先生の振るっている剣ではなく、その振るう腕を見て軌道を読んで
から、躱していた。 渡辺先生は奏多の反撃をする隙を与えず、反撃しにくい位置から剣を
振るっていた。 それに対し
(厄介だなこの先生・・・・・・ まさか、木刀での試合だったからあんな威力が出せなかっただ
けか・・・・・・ どこまで化け物なんだよ・・・・・・)
そう思いながら、渡辺先生に反撃する隙を探していた。
渡辺先生は、魔法を使ってこようとはせず、剣だけで戦っていた。
それを見て、二つの答えにたどり着いた。 それは、
・魔法を使っていないんじゃなくて、先生の精霊の属性は無。 だから、戦闘向きじゃない
ので、使っていないだけか、
・先生は魔力量が少なく、無駄に魔法を撃っていられないのか。
の二つだった。 一つ目にかけて、花蓮に聞こえる程度の小声で
「今から身体能力強化を使う。 だから、魔法式を展開してくれ。」
「はい。 御心のままに。」
と言い花蓮に魔法式の展開を頼んだ。
無属性の魔法は魔法式を展開しなければいけなく奏多自身が展開すると、少しの隙が生まれ、
その間にやられてしまうので、展開は花蓮に任せた。
奏多は先生の攻撃を躱し、花蓮が魔法式の展開が終わるのを待っていた。
少しすると、花蓮が
「魔法式の展開が完了しました。 主 」
「あぁ、助かった。」
と言い魔法を使い、身体能力を強化した。
身体能力を強化したと同時に、先生が剣を振るった。
奏多はその剣を"真横"から叩き軌道を逸らした。
それに先生は驚き、
「お、おい、今何をした?」
と、質問をしてきた。 先生は、まさか自分の振るう剣の軌道を逸らされるとは思っても
見なかったのだろう。 奏多はあの二つの中から答えにたどり着いた。
先生は魔法を使わないのではなく、魔力量が足りなくて使えないのだった。
その答えを導き出した後奏多は先生に
「渡辺先生、なぜ魔法を使わないのですか?」
「あぁ、それはな・・・・・・」
と言い先生が姿を消した。
それに驚いていて少し反応が遅れたので、花蓮が
「主 後ろです!」
と言い、一瞬で回避行動を起こしたが、少し間に合わず、左肩に斬撃に当たって
しまった。
俺は40mほど飛ばされ、左肩を負傷していた。 左肩からは出血しており、激痛が全身に
迸っっていた。 あまりのその痛さに顔が歪みさっきの答えが間違っていたのが分かった。
吹っ飛ばされて先生が向こうから、
「如月奏多君。 僕の魔力量が足りなく、使えないのだろうと思っていたのだろうが、今まで
瞬間移動の魔法式を展開していたんだよ。 だから、ほかの魔法が使えなかった。
これで、如月奏多君は詰んだな。」
と言い先生は再び奏多の後ろに瞬間移動してきた。
それに、反射神経のみで対応し先生の剣をぎりぎりのところで防いでいた。
それに対して先生は
「今のを防ぐか・・・・・・ とても、負傷しているとは思えないな。」
「こう見えても、結構力、落ちてますよ」
と、苦笑いをしながら答えた。 それに対し、先生も苦笑いしていた。
そんな攻防を見ている、生徒たちはみんながみんな真剣にみており、その戦い
を参考にして勉強をしているみたいだった。 奏多は
(お前らが囃し立てるからこうなったんだぞ!!)
と内心は怒りながら先生と剣を合わせていた。
渡辺先生と剣を合わせるごとに、渡辺先生の動きについていけなくなっていた。
それに今左肩を負傷しているので、体力も尽きかけてきていた。
それに対し先生は余裕そうな表情をしていて、体力はあんまり減っていないようだった。
そこを踏まえて考えた結果奏多は花蓮に
「何度もすまん。 花蓮、次はフライの魔法式を展開してくれないか?」
「わかりました。」
と言い、花蓮は新たに魔法式を展開しようとしていた。
奏多は花蓮が魔法式を展開し終わるまで先生の攻撃を受け流したりしていた。
そして先生が真上から振り下ろした剣を受けようと、持っている剣で防ごうとし
たが、先生の持っていた剣には、ミリ単位も力が込められてはいなく、その理由に気づ
いたときには、もう遅かった。
それは・・・・・・
先生の本命の攻撃は剣ではなく、剣で防いで無防備になっている奏多に向けて
真横から蹴りを入れていた。
斬撃に当たった時よりも大胆に吹っ飛び、100mほど、飛ばされた。
奏多は口から血を吐き、その場で動けなくなっていた。