寝床を決めようTE
『寝床を決めよう』
あれから半泣きのアリスを宥めようと彼女の前に腰を下ろして目線を合わせてやると青ざめられて慌てて立つよう促され、ならばベッドに座れと言えば顔を真っ赤にして恥ずかしがられ……結局居間に移動して対面でテーブルに着くことで落ち着いた。
居間と言っても元々この小屋には寝室とこの部屋の二部屋しかなく、その寝室ともドアの代わりに動物の毛皮が掛けられているだけの粗末なものだった。
そもそも天神エレナを奉る天神教団の中でも泉の守り手と呼ばれる者が泉に滞在する際に使う小屋で客をもてなすようなこともなし、炊事ができて寝れれば良いだけの小屋だそうだ。
ちなみに風呂や洗濯は離れた場所に泉から引いた小さな水溜まりがあってそこで済ますようになっているらしい。
「てか、今晩お前は何処で寝るつもりだったんだ? もし俺が起きなきゃベッドは使えないわけだし」
「あっ! それなら安心してください。予備の毛布がはあるので――」
簡易ベッドでもあるのかと聞いていたら……。
「ここの床に寝るつもりでし――痛いっ!」
思わずテーブル越しに頭を叩いてしまった。
「お前な……せめてテーブルの上でとか言うならともかく――」
「そ、それはお行儀が悪いので――痛いっ!」
どっちにしろ行儀の良いことではないと再び叩いてしまう。アリスは頭を押さえ涙目でうなっている。
「それで、今晩はどうすんだ?」
「へ?」
「どちらにしろベッド一つだろ?」
「……それならゆ……はっ!」
どうやらまた床にと言いかけたらしく慌てて口を塞いだ。妙にあざといがそれが似合うから腹立たしい。
アリスにベッドで寝るように奨めてみるが案の定「天与様を差し置いて」と断られる。先程はなんでも申し付けろと言っておきながら結構断られているような気がする。
「ん~……それなら一緒に寝るか。少々窮屈だが、あの広さなら――何を赤くなってる?」
「……いえ、やはり今夜は天与様と――痛いっ!」
何度目かわからないがまたアリスを叩く。
「ただ寝るだけだ。あんなこと言っといて悪いが、俺はガキに興味はない」
「ガキって……私、これでも十九の立派な大人です」
十分ガキだと半眼で睨んでいるとこっちじゃ十六で成人扱いだとおどおどと説明される。更に厳密にに言えば基本教育課程というのを修了さえすれば歳に関係なく大人とされるらしい。
「なら大人なアリスさん、男女が床を共にしたからといってやる必要はないことくらい理解できるだろ? そういうおぼこな反応は一々可愛いとは思うが今は――ああ、どうした?」
なにやらアリスが俯いてもじもじしている。
「いえ、可愛いだなんて……照れてし――痛いっ! うう……」
「だからそういうのはもういいと言っとるんだ。それよりも話を進めたい? 取り敢えず今晩は一緒に寝る。いいな?」
何か言いたそうにしていたが取り敢えずはアリスも了承した。
まだ何も話してないというのに本当に疲れる。




