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第28章:敵意1

舞と優は木戸商事へ打合わせに行くため営業部の細川と待ち合わせている会社のロビーいた。


お互いの思いを伝えあったあの日以降、優は必ずアパートの前で舞を抱きよせキスをして別れるようなったが、 あの時のように部屋に誘われるは事なかった


「悪い、待たせたな」


細川が来たのかと思い舞はエレベーターの方を振り向くと、そこに立っていたのは良太だった。


「新見主任……?」


「細川が別件でトラブってどうしても手が離せなくてな、俺が代行で行くことになったんだが……」


舞いに向けて話していた良太は、言葉の最後の方で優へと目線を向けた。


「なんだ、君も一緒か……」


「僕が一緒だと何か都合の悪い事でも?」


良太を見ている優の顔にはあきらかに不満を露にし睨み付けている。


2人の間に何故か火花が散っているように見えるのは気のせいだろうか……。


舞は2人の間に挟まれて冷や汗が出てきそうだ。


「じゃ、行こうか」


良太は舞の方へ振り向くと、舞の肩に腕を回し歩き出した。


腕を肩に回された舞は自然と良太と一緒に歩く事になってしまい、焦った。


「あっ、あの、新見主任!」


良太はどうしたの? といった感じで舞を見る。


「肩に手が……」


「あぁ、悪い。つい癖でね」


良太は悪びれた様子も無く笑顔で肩に回した手を離した。


チラッと優に視線をやると、ムッとした様子で横を向いている。


怒ってる……よね……、やっぱり……。


舞は心の中でため息を吐いた。


このメンバーで打ち合わせに行くには無理があるんじゃ……。


これからの事を考えると、気分がユウツな気分になる。


「早く行こう。時間に遅れるぞ」


何事も無かったように明るい声の良太。


あらかじめ呼んでおいたタクシーに乗込むと、役職の付いている良太、優の先輩なる舞が後ろに乗込み、優は助手席に座った。


「そういえば、この間は楽しかったね」


タクシーが走り出すと、優の前では触れて欲しくない話題を良太が思い出したように舞に話しだした。


「えっ! ああ、……そう……ですね。あの時は、ありがとうございました」


「いいよ。舞が望むなら何処にでも連れってやるよ」


良太は終始笑顔を舞に向けているが、あきらかに優に対して挑発しているとしか思えない。


いつもの良太なら決して人を挑発するような事はしないのに……。


助手席に座っている優は一言も言葉を発しない。


しかし、後ろから見える横顔は明らかに怒っている気がする。


舞はこの場から逃げ出したい気分だった。


木戸商事に着き、打ち合わせに入ると先程とはうってかわって仕事モードになった良太に、舞はホッとしながら仕事に専念した。


優は一緒に打ち合わせに来てはいるが、あくまでもサポート役な為、会社を出てから一言もしゃべる事はなかった。


舞にとっては、しゃべらない優のほうが恐怖を感じてしまう。


後で絶対何か言われるんだろうな……。


無事打ち合わせが終わり木戸商事のビルを出ると、すっかり陽は沈んでいた。


「今日は直帰するだろ?」


「はい」


良太の質問に舞は手短に答え、さっさとタクシーを捕まえて帰ろうと考えていた。


「じゃ、これから飲みにでもいかないか? 近くにいい店があるんだ」


いつもの明るい笑顔で言う良太に、これ以上一緒にいて胃が痛くなる思いはしたくなかった舞は断ろうと口を開きかけた時


「杉原君も一緒にどう? それとも、俺と一緒じゃお酒は飲めない程、度胸のないヤツじゃないよね?」


良太の言葉に優はキッと良太を睨み


「いいですよ」


一瞬の沈黙の後、低い声で答えた。


優の返事を聞いて舞は目眩がしそうになるのを必死でおさえた。


優のバカ!


なに挑発にのってんのよ!


信じられない。


もう、やるならふたりで勝手にやって。


そう思い舞は1人で帰ろうと歩きかけると良太に腕を掴まれた。


「おっと、ヤローふたりだけで飲んでも全くうれしくない。舞もおいで」


良太に強引に腕をひかれ、無理矢理店に連れていかれた。



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