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恋灯篭  作者: 劉・小狼
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 7

 真人がそんな事をするように思っていなかった絵里は

真人に対する怒りが納まらないまま、パソコンの電源を

切ろうすると

 『ねぇ、逢えないかな?……』

 絵里のメールボックスに真人からメールが届いた。

 絵里はそんな真人からメールにムッとしながら、

 『逢えるわけないでしょ! 親友の彼氏よ!……』

 真人に返信すると

 『ち、違うんだ!…… これには訳が……』

 直ぐに真人からメールが返ってきた。

 『どういう訳があるの?……』

 絵里は真人にそうメールを返したが

 『それは逢ってから話すよ……』

 としか、真人からは返って来なかった。

 しょうがなく、絵里は真人と金曜日の夕方に

会うことにした。

 

 絵里は真人から買ってもらった淡いピンク色の

ワンピースを紙袋に入れ、それを持って、渋谷駅で

真人のことを待っていたが真人は中々、絵里の前に現れずに

その間、ずっと絵里はナンパされた。

 ただ、真人との怒りがあった絵里は来るナンパの人達を

怖い顔で追い払った。

  『何で来ないのよ!…… もう良いわ!』

 絵里が怒って、帰ろうとすると

 「ごめん!……」

 真人が慌てて、絵里のもとに走ってやって来た。

 絵里は真人のことを睨みつけながら

 「さあ。訳を話してよ……」

 真人にさゆみとのことを訊いたが

 「そ、それは……」

 真人は困った顔で絵里への返答に困った。

 はっきりしない真人に絵里は

 「もう良いわ!…… これ、返すわ!」

 真人に買ってもらったワンピースが入った紙袋を

真人に投げつけ、家へと歩き出した。

 「ちょ、ちょっと…… 待ってくれよ!」

 真人は歩き去った絵里を慌てて、追いかけると

人通りの少ない場所で絵里の手を掴んだ。

 「何するのよ! 離してよ!……」

 絵里は振り返り、真人の手を振り解こうとしたが

真人は何も言わずにいきなり、絵里にキスをした。

 『何?……』

 絵里は突然のことにびっくりしたものの、直ぐに

 「何をするのよ!……」

 真人にビンタをした。

 真人は絵里から顔を背けたまま、

 「ご、ごめん……」

 と呟いた。

 絵里も真人を叩いて、痛い手をギュッと

握り締めながら

 「ごめん……」

 真人から顔を背け、呟いた。

 「ごめんね!…… 今は何も言えないんだ。

でも、必ず君のもとにもどってくるから……」

 真人は絵里が返した淡いピンク色のワンピースが入った

紙袋を絵里に押し返すとその場を慌てて、走り去った。

 『ウソだ!……』

 絵里はそう思ったが心の何処かでは真人の言葉を信じ、

真人が押し返した紙袋を無意識にギュッと抱き締めていた。


 それ以来、絵里のメールボックスに真人から

メールが届くことはなくなった。

 絵里はさゆみと真人の関係が気になりながらも

さゆみに真人のことを訊くことが出来ずに

哀しい学園生活を送った。

 そんな中、絵里は真人のことも忘れようと努力をしたが

心の何処かで真人がいて、どうしても絵里は真人のことを

忘れることができなかった。

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