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暫くして、真人と絵里の前に注文した料理が出てきた。
真人はハンバーグセットで絵里は小さなスープ皿に
コンソメスープが入ったのとスパゲティーナポリタンだった。
「いただきます!……」
まるで子供のように食事を食べ始めた真人に絵里は
唖然としていた。
子供のように無邪気に食事を食べる真人に絵里は
おかしくなり、噴き出しそうになっていると
「失礼します!……」
ウエーターがいきなり、絵里の後ろから食事の汁が
飛び散らないようにナプキンを掛けてくれた。
真人は食事を取りながら
「食べないの?冷めちゃうよ?……」
絵里に聞いてきた。
「は、はい……」
絵里はそう言うと慌てて、目の前の食事を食べた。
絵里が一口、食事を食べた瞬間、優しい気持ちに
包まれた。
忘れかけていた家族の温もりを絵里はその食事から
得たようだった。
「美味いだろう?……」
真人のそんな言葉に絵里は大きく頷くと微笑みながら
次の食事を口の中に運んだ。
真人と絵里が食事をしていると途中で
ウエーターがやってきて、
「デザートはどうしましょう?……」
真人に訊いてきた。
「え~っと…… 僕は珈琲!」
真人がウエーターにそう答えるとウエーターは
絵里のことを見ながら
「そちらの方はどういたしましょう?」
絵里のデザートのことを尋ねてきた。
真人は絵里のことを見詰め、考えながら
「うん~と…… お任せします!……」
と言った。
ウエーターは絵里のことを見詰めると
「かしこまりました!……」
微笑みながら、奥へと下がった。
二人が食事を終えると絵里と真人の前に
デザートが運ばれてきた。
絵里の前に運ばれてきたデザートは
ミントのアイスだった。
絵里が一口、ミントのアイスを頬張ると絵里は
たちまち、幸せに包まれた。
真人は絵里がデザートを食べ終わると
支払いを済ませ、絵里と共に洋食店から出た。
外はすでに真っ暗で真人は夜空を見上げながら
「そろそろ、帰ろうか?……」
絵里に何もしないまま、渋谷駅へと絵里を送り、
家に帰した。
絵里が家に帰ると家には誰もいなかった。
さっきまでの真人の楽しく幸せな時間から一変に
絵里はいつもの寂しい現実の戻された。
気持ちが途端にブルーになった。
絵里は真人から買ってもらった淡いピンク色の
ワンピースをハンガーにかけ、自分の部屋の壁に
掛けると寂しさを少しでも忘れる為にさゆみに
メールを送ろうとパソコンの電源を入れた。
すると、絵里のメールボックスに真人から
メールが送られてきていた。
『何かしら?……』
絵里がそう思い、真人からのメールを開くと
「今日はありがとうね!…… 僕のわがままに
付き合ってもらって…… とても楽しかったよ!……
また、僕と会ってくれるかな?」
と書かれてあった。
真人のことに少し惹かれ始めていた絵里は
真人からメールの内容を見て、微笑みながら
『良いですよ!……』
真人に返信のメールを送った。
それからすぐに真人からメールが届き、絵里は
また金曜日の夕方に真人と会うことにした。




