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真人が絵里の手を引き、絵里を連れて来たのは
あまり若い女性が着そうもない服が売られている
洋服屋だった。
『えっ?……』
絵里は一瞬、真人が連れてきた場所に驚き、引いた。
「いらっしゃいませ!……」
店の店員のそんな言葉を遮るかのように真人は店員に
「この子に合う服を何か、選んであげて!」
というと絵里を店員の前に出した。
『え?……』
絵里が困った顔で真人のことを見詰めると
「良いから、良いから……」
真人は優しく、絵里に微笑みながらそう言うと
少し困った店員だったが
「わ、わかりました……」
絵里を連れて、店の奥へと進んでいった。
数分後。
絵里は淡い桜色の可愛らしいワンピースに着替え、
店員と共に真人のもとに戻ってきた。
「こんなモノでいかがでしょう?……」
店員のそんな言葉にも上の空で淡い桜色の可愛らしい
ワンピース姿の絵里に見惚れながら
「うん!良い! これにします!……」
真人は店員に言った。
『え?……』
絵里が困った顔で
「こ、困ります…… こんなモノ……」
慌てて、店の奥の更衣室で着替えようとした。
だが、真人は絵里を引き止め、
「だめ?嫌い?……」
絵里に言うと
「いや…… 別に嫌いではないですが……」
絵里は自分が着ている淡い桜色のワンピースを
見ながら、戸惑っていると
「じゃあ、良いから…… 僕からのプレゼントだから!」
絵里が着ている淡いピンク色の可愛らしいワンピースの
代金を店員に支払った。
真人は店から出ると淡いピンクの可愛らしいワンピース姿の
絵里を見ながら
「さて。次は何処に行こうか?……お腹が空いたから
何処か、食事に行こうか?……」
絵里は困った顔で俯いたまま、何も答えなかった。
真人は首を傾げ、絵里のことを覗き込みながら
「あれ? 気に入らなかった?……」
絵里に話しかけた。
絵里は首を横に振り、
「いいえ…… でも、こんな高いモノを……」
困った顔で真人を見詰めた。
真人は少しホッとした表情を浮かべ、絵里の手を
ギュッと握ると
「なんだ。そんなことかぁ…… 気にしないで!
僕からのプレゼントだから……気に入らないなら、
捨てても良いから…… それよりお腹が空いたよ!」
絵里に無邪気な子供のような表情を見せた。
絵里は真人の無邪気な子供のような表情を見た途端、
矢で心を射抜かれたかのようにドキッとした。
「何か食べに行こう!」
真人は絵里の手を引いて、再び走り始めた。
真人が絵里を連れて来たのは街外れの
物静かな洋食屋だった。
その洋食屋に入ると人はいなく、真人と絵里の
貸切状態だった。
真人は慣れたように絵里と席に着くと奥の方から
優しそうなウエーターがメニュー表を持ってやってきた。
真人はメニューを見ながら、手馴れたように注文をすると
「何にする?」
絵里に訊いてきた。
「え?…… えっ~と……」
慣れてない手つきでメニュー表を捲って、書いている
メニューを見ている絵里を真人は微笑み、見詰めながら
「じゃあ。この子にはあのメニューを……」
ウエーターに絵里のを注文した。
ウエーターは優しい顔で絵里のことを見詰めると
「かしこまりました!……」
二人のメニュー表を取り、奥へと下がった。
不安そうな顔で真人のことを見詰める絵里に
「大丈夫だから…… そんなに緊張しないで!」
真人は優しく微笑んだ。
「は、はい……」
絵里は真人にそう答えたがガチガチに緊張をしていた。




