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恋灯篭  作者: 劉・小狼
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 「な、なんですか?……」

 絵里が追いかけてきた真人にそう言うと

真人は息を切らしながら

 「ここら辺、よくわからないだろう?……

一緒に付いていくよ!」

 と言った。

 絵里は茜がいる病室を見ながら

 「良いの?…… 妹さんに付いてなくて?」

 真人に言うと真人は絵里のことを見詰めながら

 「うん。良いんだ…… 妹は随分、良いから……

さあ。行こう!」

 と言うと絵里の手を掴み、街へと再び、走り出した。

 真人は絵里が街で茜の注文した物を買う間、

ずっと絵里に付き合った。

 真人は途中で絵里に

 「どうして、ここに来たんだ?……」

 と訊いた。

 絵里は怖い顔で真人のことを睨みながら

 「何を言っているの…… 貴方が変なメールを

送るからでしょ?……」

 と言った。

 「変なメール?…… あっ。ご、ごめん……」

 真人は素直に絵里に謝った。

 「本当よ…… びっくりしたんだから……

でも、貴方がなんともなくて……」

 絵里は嬉しそうな表情で微笑んだ。

 「本当にごめん…… でも、良いの?

こんな所まで来て?……」

 真人がそう言うと

 「良いの、良いの…… さあ、最後の物を

買いにいきましょう!……」

 絵里は真人の手を引き、駆け出した。

 茜から頼まれていた最後の品物を買おうと近くの

小さなデパートに絵里と真人は入った。

 だが、茜が欲しかった品物がちょうど、売り切れていた。

 「どうしよう?……」

 真人が困っていると真人の横で少し考えた絵里は

 「帰りましょう!……」

 と言い、真人と共に茜のいる、病院へと戻った。

 絵里と真人が病室に戻ってくると茜は嬉しそうに

 「あった?……」

 と話しかけてきた。

 真人は落ち込んだ表情で

 「ごめん…… 茜が欲しかった口紅がなかったんだ……」

 茜に言うと茜はがっかりした。

 がっかりしている茜を見て、絵里は

 「気に入らないけど、これをあげるね!」

 と言うと東京で買ったばかりの淡いピンクの口紅を

自分のバックから取り出すと茜に手渡した。

 「え? 良いの?……」

 茜は途端に嬉しそうに微笑んだ。

 「良いよ。大事にしてね!……」

 絵里がにっこりと茜に微笑むと真人が慌てて、

 「わ、悪いよ…… こんな物……」

 と言ったが絵里は

 「良いの。私なら、また買うから……」

 と言った。

 絵里は茜に優しく微笑みながら

 「茜ちゃん。早く、良くなってね…… 良くなったら、

女の子同士で一緒に買い物に行こうね?……」

 と言うと茜はとても嬉しそうに

 「うん…… 一緒に行こうね!」

 と頷いた。

 「じゃあ、また来るね!……」

 絵里はそう言うと茜の病室を後にした。

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