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『そんな絵里と一緒に居る所を僕は絵里の親友の
さゆみさんに知られてしまったんだ……
そのことはその時、絵里の親友のさゆみさんと
付き合っていた琢己の耳にもすぐに入った……
怒った琢己は妹の茜の治療をやめ、高額の治療費などを
僕に請求してきたのだった。
途方に暮れている僕に琢己の妹・美保は
「自分の彼氏になってくれるんだったら、
私が何とかしてくれる」
と僕に言ってきたんだ。
絵里には悪いと思ったが妹の茜を助ける為に
僕は琢己の妹の美保の彼氏になることにしたんだ……
これが一番、幸せな事だと自分に言い聞かせて……
だが、同じ大学で絵里と出遭って、その気持ちも
少し揺らぎ始め、琢己と仲良くいる絵里を見て、
少しジェラシーを抱いていたのだった……』
『絵里が琢己と仲良くすればするほど、
僕は辛かった……
でも、妹の茜の為だと思って、自分の感情を
必死に押し殺した。 もう、限界だ!……
僕は絵里や琢己達の前から妹の茜と共に消えるよ……
じゃあ。本当にごめんだったね!』
真人のメールはそう綴られていた。
『え? どういうこと?……』
絵里は真人のメールの最後の文面にびっくりし、
すぐに真人にメールを送った。
だが、すでに真人のメールアドレスが存在してないのか、
絵里が真人に送ったメールは真人に届くことなく、
絵里のもとに戻ってきた。
『これって、絶対まずいよね!……』
そう思った絵里は携帯電話からさゆみに電話をした。
「はーい! さゆみだけど……」
さゆみの声に絵里は慌てて、
「さゆみ。さゆみの彼氏だった真人さんの連絡先、
知らない?」
真人の連絡先をさゆみに訊いた。
「さあ。知らないわね…… でも、付き合っている時に
故郷が四国の高知の方だと言っていたけど……」
「さゆみ、ありがとう!……」
絵里はさゆみにお礼を言うと携帯電話を切ると
そのまま、部屋を飛び出した。
駅に向かった絵里は高知行きの電車に飛び乗った。
高知に向かう電車の中で絵里はじっとしてられなくて、
あっちこっちに電話をして、真人の故郷の事などの
情報を色々と集めた。
そして、ようやく、真人の故郷が高知の安岐というのを
突き止めた。
『どうか、死なないで……』
絵里はそんな事を思いながら、真人がいる
高知の安岐へと向かった。
高知の安岐へと着いた絵里は町の人達に真人の事を
訊いた。
真人は丘の上にある小さな病院の中で妹・茜の
看病をしているとわかった。
『よかった…… 死んでなくて……』
ホッとした絵里は真人の妹の茜が入院している
丘の上の病院へと向かった。




