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恋灯篭  作者: 劉・小狼
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 「ああぁ…… 疲れた!」

 少し疲れて絵里は自分の部屋に帰ってきた。

 『何だったんだろう? アイツ……』

 絵里は琢己のことを思い出しながら、

両親へとメールを送ろうとパソコンの電源を入れた。

 すると、絵里のメールボックスにメールが届いていた。

 『誰だろう?…… パパかな?』

 絵里と思いながら、そのメールを開くと

 「真人だけど…… 一緒にいた男性は誰?」

 それは真人からメールだった。

 『え?なに?…… 今さら、何を言っているの?」

 絵里は真人の突然のメールに戸惑いながらも

 「なにを言っているの?彼氏でもない貴方には

関係ないでしょ?……」

 真人にメールを送り返した。

 それから暫くして、真人から

 「ごめん…… そうだよなぁ……」

 元気のないメールが返ってきた。

 そのメールを見た絵里は少し言い過ぎたと思い、

 「ごめん。私も言いすぎた!……」

 真人に更にメールを返した。

 すると、真人から

 「会えないか?……」

 思いがけないメールが返って来た。

 絵里はもう真人のことを忘れたかったが

心の何処かでもう一度、真人と逢いたいと思っていて……

 『これが最後!……』

 絵里は自分にそう言い聞かせ、真人と

金曜日の夜に逢うことにした。


 絵里はどんな服装で行こうか、散々迷ったが

結局、真人から買ってもらった淡いピンク色の

ワンピースにした。

 絵里が真人の待ち合わせの渋谷駅に行くと

すでに真人が渋谷駅の前で待っていた。


 『あれ?先にいる?……』

 絵里はびっくりして、物陰に隠れ、真人の様子を

窺った。

 真人は辺りを見廻し、明らかに絵里のことを

探していた。 

 『どうして?……』

 そんな真人の様子を見た絵里は中々、物陰から

出ることが出来ずに

 『ごめんなさい。 用事が出来て、

今日はいけません……』

 携帯電話から真人の携帯電話にメールを送った。

 真人は携帯電話に送られてきた絵里からのメールを

見るとがっかりした顔で渋谷駅から帰っていった。

 それ以来、絵里は大学などで真人のことを見つけると

物陰に隠れるようになった。

 いつものように大学内で真人のことを見つけた絵里は

樹の陰に隠れ、真人の様子を窺っていると

 「どうしたの?…… 何をやっているの?」

 絵里の後ろから琢己の声が聴こえてきた。

 『え?……』

 絵里が驚いた顔で後ろを振り向くと絵里の後ろに

琢己が立っていた。

 「何でもないわよ!……」

 絵里は真人のことが気になりながらも琢己の方に

振り返った。

 「本当?…… 何か、隠していない?……」

 琢己は覗き込むように絵里の後ろの様子を窺った。

 『やばっ! バレる……』

 そう思った絵里は

 「今、ひま?……」

 咄嗟に琢己にそう話しかけた。

 「まあ。今、暇だけど……」

 琢己がそう答えると

 「じゃあ。何処に遊びに行きましょう!」

 絵里は琢己の手を引き、その場から走り出した。

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