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都内の女子校に通う、絵里は恋に餓えていた。
一人っ子で両親が共働きをしている絵里は学校から
家に戻っても話す相手もおらず、毎日、寂しい日を
送っていた。
そんなある日。
親友のさゆみに絵里は援助交際を勧められた。
「そんなのイヤだよ!……」
絵里は親友のさゆみの援助交際の誘いを強く断った。
だが、家に帰ってきて、一人、部屋で勉強をしていた
絵里はふと、
『ねぇ、絵里。 援交しない?……』
親友のさゆみの声が頭を過ぎった。
『ちょっと、覗いてみようかな?……』
絵里はパソコンを開き、そんな軽い気持ちで
援助交際のサイトを除いてみた。
『女子高生大歓迎!』
『1回、五万でどう?……』
そのサイトの画面には甘い文言で書き連ねていて、
援助交際を誘っていた。
『イヤだ! さゆみって、こんなのをしているんだ!……」
絵里は親友のさゆみのことを少し軽蔑をしながら、
そのサイトを閉じ、パソコンを切った。
数日後。
勉強が早く片付いた絵里が暇つぶしにパソコンをつけると
絵里のメールボックスに一通の届いていた。
「あれ?誰からだろう?…… お母さんからかな?」
絵里は届いているメールに疑問を感じながらも
メールと開いてみると
「明日の午後4時に渋谷駅の前で待っています!」
とそれは見覚えのないメールだった。
「あれ?間違えメール?…… まあ。関係ないから良いか?」
絵里はさほど気にせずにそのメールを
メールボックスから消去した。
絵里は昨日のメールのことなどすっかり、忘れていたが
学校の帰り道に親友のさゆみと話しているときにふと、
昨日のおかしなメールのことを思い出した。
何か気になった絵里は親友のさゆみに
「ごめん。用事を思い出した!……」
と言って、別れれると渋谷駅へと急いだ。
だが、渋谷駅にはそれらしき人はいなかった。
「何だ。やっぱり、間違いだったんだ!」
何か、ホッとして絵里が家に帰ろうとすると
「あの……」
絵里を呼び止める声が聴こえた。
『え?……』
自分を呼び止める声に絵里が振り返ると20代の背広を着た
サラリーマン風の男性・真人【まこと】が立っていた。
『誰?……』
絵里は一瞬、真人のことをそう思ったがメールのことが
頭を過ぎり、
「も、もしかして…… メールの方?」
真人に訊くと
「あ、はい……」
真人は頷いた。
『案外、イケメンじゃない……』
イケメンな真人に絵里は見惚れた。
「あの…… ど、何処に行きましょうか?」
少し恥ずかしそうに真人は絵里に話しかけてきた。
ハッと我に返った絵里は慌てて、
「ち、違うのです……」
真人に間違いメールのことを説明した。
「そうですか…… それは私こそ、ごめんなさい。
迷惑をかけちゃって……」
真人は絵里に謝ると少し哀しそうに駅を後にした。
絵里が悪い訳じゃなかったが絵里は真人に何だか、悪い事を
したような気になった。




