その6
午後1時からK株式会社の取締役と打ち合わせ。
話は最初からつまづいた。
「意思決定にデータがほしい。もっとリアルタイム性がほしいんだよね。」
「今のマシンスペックでは限界が・・・」
「そこをなんとか頼むよ。」
と、頼まれても困っちゃう。本格的なリプレースに持っていきたいな。今日の会話は実りがなさそうだから、次回に持ち越そう。
「とりあえず社に戻りまして検討させてください。」
「おたく1社じゃないから、勉強してもらえると嬉しいね。」
ぐさっ!胸に突き刺さる針。やっぱり大会社の取締役ともなると交渉術もお上手ですねぇ。
僕は社用車を走らせた。
これって尻尾を巻いて逃げだしたの間違い?
社に電話して途中I君のお見舞いに病院にお邪魔した。
4人部屋の奥でI君はゲーム中だった。
「I君、元気かぁ~?」
「やあハル、迷惑かけてるんだって。聞いたよ。すまないねぇ」
すまないと思ってるのならゲームの画面から目を離してほしい。
「元気ならいいんだ。災難だったろうけれど、ゲーム存分に堪能しておいて。I君の仕事は僕が引き受けたからまかせろって。」
「よろしく頼む」
ゲームから目を離さずに器用にお辞儀したI君、やっぱり変。
僕は会社に帰ることにした。




