チャプター6 幼馴染は今・・・
トビアスは車で住宅街へと向かった。
そしてある家に車を停める。
トビアスは降りると、家のインターホンを押した。
暫らくしてメアリーが出てきた。
「トビアス!久しぶりね!」
「ああ、メアリー。実は一緒に食事に行こうかなぁと思って・・・」
トビアスが言いかけると、メアリーは残念そうな顔をして言った。
「ごめんなさい・・・実は先約があるのよ・・・」
「そっか・・・なら仕方ないね・・・」
「ごめんなさい・・・幼馴染なのに・・・」
「大丈夫だよ。また今度にし・・・」
トビアスとメアリーが話していると、デレクがメアリーを迎えに来た。
「やあ、メアリー。迎えに来たよ!」
「デレク!」
デレクと抱き合うメアリー。
トビアスは気になって仲良さそうにしているメアリーに尋ねた。
「メアリー、彼は・・・新しい友達なの?」
「いいえ、付き合ってるのよ!彼とっても素敵な人なのよ。市長に選ばれたし!」
彼女の言葉を聞いたトビアスは心臓がつつかれたような感覚だった。しかし、表情は笑顔という仮面に隠している自分がいる。
デレクはトビアスを見て言った。
「君がトビアスか。彼女から聞いてるよ。優しいけど・・・ちょっと頼りないってね。」
「悪い噂だなぁ・・・恥ずかしいよ・・・!」
「ところで、君も一緒に来るかい?」
「いや、僕はいいよ。」
「そうか・・・残念だな。」
デレクはそう言うと、メアリーと車に乗った。
「じゃあ、また機会があれば!」
デレクとメアリーは手を振って走り去っていった。
離れて見えなくなりそうな車に手を振るトビアス。
ガッカリした顔で車に乗ると、ノーラン邸に帰っていった。