チャプター5 新兵器
翌朝。サムの車でトビアスはノーラン産業第二最先端研究所へと向かっていた。
研究所は大掛かりな施設で、セキュリティは万全だ。
この研究所は約250人ものスタッフが働いている。
サムはカードキーで研究所のドアを開けた。研究所に入っていくトビアスとサム。
2人は地下へと向かい、特別施設へ。
そこでは技術者のサーシャ・ケンジントンが、仕事をしていた。
「おはよう、サーシャ。どうだ?調子は。」
サムの声に気づいたサーシャが振り向いた。
「あら、社長、トビアス。おはようございます。」
「おはよう。」
トビアスとサムは挨拶を返した。
トビアスは、ショーケースに入った装置に目をやると、サーシャに尋ねた。
「なあ、これは何?」
「ああ、それね。今ノーラン産業で製作中のスカイシップの脳ミソよ。」
「脳ミソ?」
「ええ、人口知能のね。まだテスト中だけど・・・」
「君1人で造ってるの?」
「そうよ。使用方法も私しか知らない。」
「へえ、凄いな!ところで、僕の為に造ってくれてるツールは?」
「ああ、それなら・・・」
サーシャは倉庫から箱を取り出してきた。
「昨日完成したんだけど、ナビゲータよ。潜水艦に搭載されてるソナーの要領で敵のコンピューターにブラックアウトしたり・・・とか言ってもわかんないわよね? とにかく、サイバーテロに対抗するメカってとこね。チップを変更するだけで無線機にもなるの。」
「優れものだな。これ売ったら他企業にマネされること必須だね。」
トビアスは受け取ったナビゲータを見ながら言った。
そんなトビアスを見てサムが口を挟む。
「ウチが特許を持ってる。誰にもマネさせんよ。」
トビアスとサムは顔をあわせて微笑んだ。
「ところで社長。何か他には?」
「いや、何もないよ。今日はありがとう。」
サムはトビアスと共に、研究所を後にした。
車に戻り、サムが乗り込むとトビアスも乗り込んだ。
「なあ、トビアス。ランチ行かないか?」
「あいにくだけどサムは先に帰っててくれ。車借りるよ!」
「どうしたんだ?用事か?」サムは車を降りつつ尋ねた。
「まあ、そんなとこ。」
トビアスは車で走り去って行った。
1人残されたサムは、「また1人か~」
と愚痴をこぼした。