チャプター4 表の姿
数時間後、ノーラン邸でトビアス・キートンはTVで子供向けのアニメを見ていた。
これがファルコンマンの表の姿だ。彼は職を持たないいわばニート。サム・ノーランの金で生きている。
しかし、こんな彼にも悩みごとが2つあった。1つは自分がファルコンマンで在り続けられるか、もう1つは幼馴染のメアリー・スミスとの関係だ。
周りに話せる人がいない彼にとっては辛いことだった。いや、サムがいるのだが、また違う。
ぼぅとソファに横になっていると、サムがやってきた。
「どうした、トビアス?具合でも悪いのか?」
「別に。疲れてるだけだよ。」
「本当か?それだけには見えんがな。」
「いや、何もないよ。それより、スーツが重いんだよ。」
「スーツ?コートじゃないのか?」
「スーツって、ファルコンスーツのことだよ。」
「ああ、それなら早急に造れる。わが社は社員が増えたからな。それとサーシャがお前の為にツールを製作中だ。」
「本当?望遠鏡とペンは役に立ったよ。助かったって言っといて。」
「製作中のブツを見に行くか?」
「今日はいいよ。また明日。」
トビアスはそう立ち上がって自室に戻ろうとしたとき、サムが言った。
「トビアス、お前にとってはグッドニュースじゃないかもしれないが・・・」
「もう良いよ。お休み。」
トビアスはそのまま部屋へ戻っていった。
彼の背中を見てサムは1人つぶやく。「言って良いのか悪いのか・・・」