チャプター3 本物のヒーロー
その夜。
チャイナタウンにあるレストランの裏路地で、2つの組織が取引を行っていた。
1つは中華系マフィアのトライアド。もう1つは日本人系マフィアの
イシイ・グループ。
トライアドのボスであるラウ・ファーリーは以前取引したヤクのことで心底怒っていた。
「お前のクソ親父のせいで客がエライことになっちまった。責任とれ!」
父親の後を継いでクレイジータイガーのマスクを被ったショウゴは言い返す。
「んなもん知るか!親父がてめえらを狂わせたいからやっただけだろ!チャーハン野郎!」
イシイグループのメンバーは一斉に銃を構える。
そんなところに、プロレスマスクとコスチュームを着て、銃を持った男5人が現れた。
「何だ、あいつら!あれがファルコンマンか?」
無知なショウゴが言うと、
「馬鹿野郎!ファルコンマンはあんなにたくさんいねーよ!」
と、ラウが突っ込む。
彼らがそんなやりとりをしていると、マスクマンたちは銃を撃ってきた。
「撃ち返せ!」
ショウゴが叫ぶと、彼の部下とラウの部下対マスクマンの銃撃戦が始まった。
拳銃、サブマシンガン、ショットガンなど様々な銃器がぶつかり合うさなか、ビルの屋上から暗視スコープで監視する男がいた。闇に溶け込むような黒を基調としたコスチュームに、猛禽類の爪を思わせる金色のライン、しなやかだが、強靭なウイング、そして胸のハヤブサを模ったエンブレムは血のように赤い。スコープをベルトに装着すると、「彼」は混沌の戦場へと翼を広げた。
マフィアたちが上を見上げる。ラウが叫んだ。「真打登場だ!」
ペンのような飛び道具でマフィアの銃を落とし、卓越した格闘能力で1人また1人と薙ぎ倒していく。その姿はまるで獲物を狩るハヤブサのよう。
「彼」がファルコンマンだ。
ファルコンマンにとってはマスクマンも例外ではない。パンチやキックで彼らを怯ませ、拘束する。
しかし、ラウを取り逃がしてしまった。奴はスポーツカーに乗っていて追いつけない。いや、ジェットサイクルかポーターを呼び出せば簡単に追いつけるのだが。今の状況がそうさせてくれない。
「俺のマネか何かは知らないが、二度とこんなマネはするな!」
ジェットポーターを呼び出したファルコンマンは彼らに警告する。
「別に俺たちはお前のマネをしてるわけじゃない!俺たちはエンジェルズ!自警団だ!」
エンジェルズは叫ぶ。
「悪党退治は遊びじゃないんだ!」
ファルコンマンはそう言うと、ジェットポーターに乗り込んで、走り去っていった。