チャプター35 THE DARKNESS WING
一方、ロドリゲス警部の携帯電話が鳴った。
「もしもし?」
「あなた・・・」
「ケリー!どうしたんだ!?」
ケリーの声からデレクの声へ。
「やあ、警部。」
「家族に何をした!?」
「見たけりゃ教会に来るがいい。」
切れる電話。
真剣な表情のロドリゲス警部。
ロドリゲス警部は立体駐車場から立ち去り、
教会へ向かった。
教会に着くと静かに入っていく。
銃を構えながら。
途中の通路で、ジェンキンスが倒れていた。
「ジェンキンス!大丈夫か!?」
彼女は腕から血を流していた。
「ええ、警部・・・それより・・・裏切ったりしてごめんなさい・・・姉の入院費が必要だったの・・・」
「大丈夫だ・・・それより喋るな・・・止血する・・・」
ロドリゲス警部はネクタイで止血した。
それを終えると、背後から突然殴られた。
倒れ込むロドリゲス警部。
殴ったのはデレク=フェイクアームだった。
フェイクアームはロドリゲス警部の家族に銃を向けながら言った。
「お前の部下がなぜこんな目にあったかわかるか?」
「・・・・・・。」
「答えろ!」
「・・・我々の責任だ・・・」
「その女の血を流すだけでは足りない。お前の息子の血も流してもらわなければな・・・お前の大切な人間だろ・・・?」
「やめろ!息子だけはやめろ!頼む・・・私を殺せ!」
「あなた!彼を止めて!」
必死に訴えるロドリゲス警部とケリー。
「お前を殺す価値などない!汚職と戦わなかったお前など・・・!」
フェイクアームはロドリゲス警部の息子に銃を向ける。
「すまなかった・・・」
「息子に言ってやれ・・・怖がるなと・・・」
「ジャック・・・怖がらなくても大丈夫だ・・・」
するとそこにファルコンマンが現れた。
「デレク!君はそんな人間じゃない!」
「お前に何がわかるんだ!?俺の人生は滅茶苦茶にされて・・・メアリーも失って・・・」
「君は正しい人間だったからだ!ピノキオは君がこの街の善人だということに目をつけた。君はウソをつかずに犯罪と戦ってきた・・・奴は君のような人間を試していたんだ!」
「もう、俺は終わりだ。お前たちを始末したら俺もここで死ぬ・・・まずは息子から・・・」
フェイクアームが引き金を引こうとしたそのとき。
ファルコンマンはフェイクアームの腕を掴み、チョップで切断した。
バチバチと電気音を鳴らす義手。
フェイクアームは倒れた。
これが命綱だったのか?
「ファルコンマン・・・いや、トビアスか・・・皆には言うな・・・」
フェイクアーム=デレクはそう言い残すと、静かに息絶えた・・・
機械仕掛けの義手を見て、ロドリゲス警部はファルコンマンに言った。
「これからどうする?」
「時が来れば・・・真実を明かそう・・・それまでは市民を守るためにも闇に葬る・・・」
「そうか・・・ピノキオの勝ちだな・・・残念ながら・・・」
「確かに負けた・・・だが終わってはいない。」
ファルコンマンは教会を出ると、ダークランナーで走り去る。
STAGに追われながら・・・
ロドリゲス警部とジャックはそれを見守る。
「どうして彼は逃げるの?」
「彼はもうヒーローじゃないからだ・・・」
「何も悪いことしてないのに?」
「確かに彼はこの街に必要だ・・・しかし、彼は我々とは違う世界の人間だ・・・だから追われる・・・
でも彼は負けたりしない。何度堕ちても這い上がり、飛び立ってゆく。不屈の心で。闇に小さな光を灯す・・・」
トビアスの帰りを待つサム、コントロールルームのモニターをハンマーで叩き壊すサーシャ。
そして、暗闇の中のわずかな光を求めて、ダークランナーに誇ったファルコンマンは疾走していった・・・
「彼はダークネス・ウィング<闇の翼>・・・」




