チャプター32 邪悪な誘い
地上に出たピノキオは、マスクをして、路地裏に停めてあった車を盗み、
ある場所へと向かった。
病院だ。
病院に入ると、受付に言った。
「デレク・ジョンソンの病室はどこだ?」
「ご親族の方ですか?」
「いや・・・ちょっとした知り合いでね。」
「105号室です。」
「ありがとう。」
ピノキオがそう言って去っていくと、
ワゴン車が突っ込んできた。
パニックに陥る病院。
ピノキオは105号室に入り、デレクを押さえつけ、
薬品で眠らせた。
デレクが目を覚ますと、何もない場所にいた。
ベッドに拘束されており、身動きが取れない。
傍にはニヤニヤとした顔のピノキオが。
「おはよう、デレク。」
「よくもメアリーを・・・この化け物め!」
「おいおい・・・まあ、落ち着けよ。彼女のことは気の毒だったな。だが俺はやってない。本当だ。警部の部下どもはどんな奴か知ってるか?俺たちみたいな奴から金を貰って働いてるんだよ。もうわかっただろ?」
「なぜ、僕を拉致した・・・?何が望みだ?」
「お前に更生して欲しいんだよ。俺たちに怒りをぶつけるんじゃなく、お前の女を殺した奴らに同じ目を合わせてやるのさ。どうだ?最高だと思わないか?」
「それはただの殺人だ!」
「まあ、そう熱くなるなって。冷静になれ。素直に感じようぜ。サツの腐敗ってヤツをな。それとマフィアどものケツ叩きだ。あいつらは俺より下等な生き物だ。金に目がくらめば、何でもする。俺は物欲なんてものはない。スリル好きでな。俺とお前が手を組めば、完全になれるぜ?」
「お前の味方などしたとしても自滅するだけだ!」
「どうかな?この街じゃ、帝王が必要だぜ?暗黒の帝王ってヤツだ。俺はお前を裏切らない。お前は完璧すぎるからな。今のお前は正義を振りかざしているが、お前には正義なんてものは似合わない。今のお前は憎しみでいっぱいのはずだ。民衆に見せてやろうぜ。いかに人間は無力で哀れな生き物か。お前がコイツを受け入れれば、死刑執行人として闇の世界に浸かれるぜ・・・」
ピノキオは、機械でできたアームを取り出した。
「この世界はウソで塗り固めることで栄えてきた。今、俺たちで革命を起こす瞬間だ。」
ピノキオはデレクの失った腕に、アームを取り付けた。




