チャプター30 Requiem for Destruction
そのころ病院では、デレクが失った片腕を見つめていた。
包帯を巻かれた片腕だ。
脳裏に過去がフラッシュバックする。
ファルコンマンに助けられたときのこと・・・・・・
病院に搬送され、オペ室に入ったときのこと・・・・・・
そして、最後に見た未来の花嫁となるはずだったメアリー・・・・・・
傍に置かれている彼女に渡すはずだった指輪を見て、絶望感に包まれる。
そこに、ロドリゲス警部がやって来た。
「気分はどうだ・・・?君は義手をつけることも拒否しているようだが・・・」
「・・・・・・。」
「世界は残酷だ・・・。君のような罪なき人間が死に、悪が栄える・・・。私もいつかは消えるだろう・・・」
「あんたは・・・僕をからかいに来たのか?こんな腕にされて・・・メアリーまで・・・」
「すまない・・・我々は何もできなかった・・・」
「出て行ってくれ・・・頼むから・・・」
デレクが言うも、黙って立ち続けるロドリゲス警部。
「出て行け!」
デレクは怒鳴った。
仕方なく退出するロドリゲス警部。
ロドリゲス警部が病室を出ると、アルマンドが立っていた。
「よう、警部。警戒しといたほうがいいぜ。ピノキオは何か企ててる。かなりヤバイことだ。」
「何だと?お前は奴の仲間だったんじゃないのか?」
「俺は奴に外されちまった。フリーだよ。ほとんどの野郎どもは奴の手下になっちまったしな。まあ、誤解すんなよ?俺はサツの味方はしねぇ。おとなしく実家に帰るつもりだ。」
「この事件が終わったら覚えてろよ。」
「楽しみだぜ。」
アルマンドは去っていった。
ロドリゲス警部も病院を後にする。




