チャプター14 宣戦布告
サムはノーラン邸に戻ると、こんなことを言ってきた。
「なあ、トビアス。明日の夜、企業パーティがあるんだが、来るか?あのことは警察に任せて・・・ホラ、休みも必要だろ?」
サムがそう言っても、電源のついたテレビの前でトビアスは考え込んでいる。
サムは溜息をついて、部屋を出ようとしたそのとき。テレビ画面に「BREAKING NEWS」と表示され、
アナウンサーが映し出された。「緊急ニュースです。先刻、非合法自警グループ「エンジェルズ」の5名が遺体で発見されました。現場にはビデオテープが残されており・・・これが例の映像です。」
画面が切り替わると、異様に鼻の長い男が映っている。ピノキオだ。
なにやらピノキオは、エンジェルズの5人をロープで縛り、尋問している。
「お前らはファルコンマンの仲間か?」
彼らは答える。
「ああ・・・」
ピノキオは大笑いして言った。
「お前ら、笑わせるなよ!ファルコンマンが銃なんか見たら嫌がるぞ。お前たちはテレビに映ってるんだぜ?もっと笑えよ。」
「・・・」
「聞こえなかったのか!?もっと笑え!」
いきなり怒鳴り散らすピノキオ。
それでも俯いている彼らに飽きて、画面に顔を向けた。
「観てるか!?ファルコンマン。お前が俺を呼び出したんだぞ~ もし、お前がマスクを取って投降
しなけりゃ、俺は暴れる。明日の夜、ある3つの場所のどこかに俺がやってくる。ウソじゃない。この俺を止めたけりゃ、おとなしく俺の言う通りにしろ。さもなければ・・・」
ピノキオは撮影カメラを投げ出し、銃声が聞こえた。最後に映ったのは、エンジェルズの死体だけだった。
「こりゃ、エラいのが出てきちまったな・・・トビアス、奴に勝てるのか?」
「一筋縄ではいかないだろうな・・・明日のパーティは決定だ。」
「えっ?」
「奴がパーティに現れるかもしれない。」
「別の場所に現れたら元も子もないぞ!」
「やってみるしかないじゃないか。」
トビアスはそう言って部屋を出て行こうとすると、
「奴は力では勝てない!」
サムが言った。
「わかってるよ・・・ただ、僕は・・・できる限りのことをやるだけさ。」
「これだけは言っておくが・・・奴は犯罪を楽しんでいる。社会に対するイライラを我々にぶつけようとしてくるんだ。奴には物欲が無い。人々の不幸を嘲笑し、それを生きる糧にしている怪物だ・・・」
「だったら・・・僕も怪物になればいい。」
トビアスはそう言い残すと、部屋を出て行った。




