閑話 明日香の過去2
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次に彼女に会ったのは東地区の学校の裏にある小高い丘の上だった
その日俺は学校をサボってふらふらしていたんだが、気まぐれに丘からの景色を見ようとおもった
そこで彼女に再び会えると思いもよさずに
彼女は背の高そうなイケメン男と肩を寄せ合って樹に寄りかかって寝ていた
「・・・。」
寝ているのを起こすのも悪い気がして、足音をなるべく殺しながら二人に近づいていこうとした
その瞬間、男がカッと目を見開き、鋭い目つきでこちらを睨み付けてきた
なんだ、この男
まだ10メートル以上は離れているはずだ
それなのに、こっちの気配に気がつきやがった
只者じゃない
まぁ、あんな危ない彼女の彼氏なんだろうから、これくらいは当然なのかもしれない
「何のようだ」
かなり威圧感のある声で、据わった目で威嚇
でけぇ、俺だって低くはないほうだ(175cmはあるぞ)だが、そいつは190cm近くあるんじゃないだろうか
男は、彼女をそっとずらして樹にもたれかからせると
一気に目の前に移動してきた
どうやってこんな離れた位置まで移動したんだ、ボルトもびっくりの世界新記録じゃねーのかよ
だが、このやろう・・・
売られた喧嘩は買うのが男ってもんだろう
「その女に用があってきたんだ、優男は引っ込んでな」
もちろん嘘だ
ただの偶然だったが、それを伝える義理もない
その瞬間、優男には到底持ちえないだろう殺気がビシビシ伝わってくる
だが俺は、特に用がなかったはずの、眠っている彼女から目が離せなかった
横で同じように寝ていたこの男がどうしても気に入らなかった
このときの俺は嫉妬していたんだとおもう
だが、それに気がつくことがないまま俺は意識を手放していた
気がついたら夜だった
大の字に転がって夜空を見上げていた。星が綺麗だった・・・
乾杯。いや完敗だ
男が「うせろ」と、台詞を言い終わると同時に、男が動き俺の鳩尾に拳を叩き込んでいた
俺が憶えているのはそれだけだった
なんて強さだ
強いなんてもんじゃない、化け物の域だ
こちらに近づいてくるのが見えた時点で警戒していた
だが、その警戒も空しく懐に入られ、重い拳を叩き込まれた
なんてことだ、喧嘩で負けたことなんてなかった俺が一撃で意識を飛ばすなんて
ここ最近恐怖を感じてばかりだ・・・
「ははは・・・負けちまったよ」
乾いた笑いがこぼれた
なさけねぇ・・・
閑話だけでひとつの作品書けばよかったのかな・・