そのころ王宮の一室では
会話ばかりで読みにくいかもしれません
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「異世界人だと?」
「なんと!まだ前回の異世界人が確認されてから16年ほどしかたっておらぬではないか!本物なのか?」
にわかに周囲が色めき立つ
「他国の間者ということはないのか?」
「それはありません。もし間者であるならあのような毛色のものを送ってきたりするでしょうか?
黒目・黒髪など常識ではありえません」
「それもそうだな・・・と、すると例の?」
「えぇ、おそらく例のものではないかと」
「なるほど、それは吉事だな。くれぐれも間違いのないように執り行うのだ。して、どのような異世界人なのか?我々に友好的であればよいのだが・・」
「それが・・・」
男は言いにくそうに視線を下に向けた
「なんだ?なにがあった?」
「黒目・黒髪という稀な容姿ではありますが、着ている物の仕立てのよさ、教養の伺える話術、気品のようなものがあり異国の貴族ではないかと推察しております。
しかし大変遺憾ではありますが・・・
すでに第二皇女マリアベル様と第四王子フェルナンド様と接触があり、誤解の末かの方を牢へ「なんだと!!!この国を、この世界を滅ぼすつもりか!!」」
「お待ちください!!すでにかの方は牢から出られ、白銀の塔の最上階へ部屋を移させていただいております」
男たちは戦慄した
一般的には知られていない、この世界の危機
精霊との約定を違え、怒り狂わせてしまったのは人間であった
精霊は人間との交わりを避けるようになってしまい、おろかな人間たちはこう考えた
『協力せぬのであれば、従えるまで』
その傲慢な考えが精霊を友として歩んできた世界の亀裂となり、精霊たちは世界からその姿を隠してしまった
人間と精霊との間にはすでに埋められないほどの大きな溝が出来てしまったのだ
そして世界から魔法が消えるという異常な事態が引き起こされた
そこから数百年後、ある一人の異世界人によって情勢が大きく変わった
そのものは精霊と友好関係を築くことに成功したのだ
そのものの功績により再び、少しづつではあるが精霊が人間と関わりを持つようになった
そして、さらに数十年がたったある日、今から16年前のことである
一人の異世界人によって予言がなされた
その異世界人は不思議な異世界人だった
自らを異世界の旅人と名乗り、魔力もさほどない身でありながら
数多の精霊との契約を結び、さらに歴戦の騎士たちが束になってもかなわないほどの強さを誇った
その彼がある日こう言った
『いずれ、俺と同じ世界から来たものがこの世界にとって運命を左右する』
彼はそういい残して、来た時と同じようにまたふらりと何処かへ行ってしまった
「これ以上そのものに不快な思いをさせてはならんぞ。我は急ぎ他の者たちを協議を行う」
「はい。心得ております」
「御意」
男たちは一刻も早く彼女の動向・意思を探る必要があり、部屋をそれぞれのペースで後にした
「この世界はかの者にゆだねられたか・・・」
最後に残った男は渋い顔のままフーっと息を吐いた