閑話 明日香の過去1
別視点です
本編に関わりがないようで関わりがあるので載せました
俺の名は梶 亮介
16歳、高校2年生をやってる
この辺りをしめてる番長ってやつだ
女に興味がない訳じゃないむしろ、彼女は欲しいとおもっているが、キーキー泣きわめく女と言う生き物はあまり好きじゃない
周りは硬派だとか勝手に騒いでいるが、そんなこともない
ただ、女に惚れた事がないし、惚れた女が出来たときなんてことを想像もしたことがないだけだ
まぁ男として、手を挙げたりってのはしねーけどな
だが、最近めちゃくちゃ強い女がこの辺りに出没するらしい
女が男に負けないとは言えないが、その噂では男5人に囲まれても怯えもせずに叩きのめしたらしい
しかも、見た目は小さく可愛らしい女だと言っていた(手下談)
まぁただの噂だろうけどな
大方、ナンパに失敗して自棄になって噂をばら蒔いたとかが真実だろう
噂の中の真実なんてほんの一握りだ
だが、あまりにも噂が広まりすぎてきたんで、俺もその女を見つけ真実とやらを明らかにしようと思った
この時の俺は、運命の出会いなんて信じちゃいなかったんだ
神様ってのが本当にいるのなら、この出会いに感謝したい
その日の俺はNo.2であり、親友でもある沖田 凱と街をぶらついていた
「東の方は落ち着いてるみたいだが、南はまだ傘下に入って日が浅い。情勢に注意が必要だな」
先週末、俺たちは南地区を傘下に納めたことで、残すは西地区だけとなっていた
「あぁ、まだ不安定だろうからな。西の方の動きはあんのか?」
喧嘩は好きだが、あまり派手にやらかすと退学になる
この不況で退学はさすがに困るからな
「西にまだ動きはみられないが・・・おい亮介、あれなんだ?」
凱の指差す方へ目を向ければ、一人の小柄な女が3人の男に囲まれているのが見えた
ナンパか?
あんな風に女一人を大勢で囲んで男として恥ずかしくねーのかよ
俺の位置からは女の後ろ姿しか確認できないが、腰まである長い黒髪であることと、背丈が150センチほどと小柄なことがわかった
無体な事をするようなら、面倒だが俺が場を納めることも考えていた次の瞬間
3人の男は空を飛んでいた
「人間って空も飛べるようになったんだっけ?」
俺の横で、同じようなことを考えていたであろう凱はあまりの事態に付いていけずアホな顔で固まっていた
なんだ?何が起こったんだ??
あのときの事を振り替えったら、俺も凱の事を悪く言えなかっただろう
おそらく俺も同じような顔をしていたはずだ
そう、小柄な女が一瞬にして3人の男を蹴り飛ばしたんだからな
どんな風に技をかけたのか早すぎて見えなかった
喧嘩慣れしているはずの俺たちが恐怖を覚えるような洗練された身のこなし、小柄の女
まさかこれが噂の女か!!
視線を感じたのか、女は此方を振り返った
サラサラと流れる真っ直ぐ艶やかな黒髪、クリクリと大きな黒い瞳、まだあどけなさの残る可愛らしい顔
俺は不覚にも見とれてしまった
俺はあの日の出会いを一生忘れないだろう
女=明日香ちゃんです
本人は気がついていませんが、現代では逆ハーだったもよう