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好きな人を作る計画

過去の恋愛を忘れるには新しい恋しかない。


私は東京での恋人候補を作ってみた。

ビアンの世界ではそこら辺に出会いはなく、ましてや東京に知り合いなんていない・・・と、なると出会いたいなら掲示板が手っ取り早い。





彼女友達募集


初めまして

今は関西に住んでますが年内に東京に住みます。


私の事

色白の茶髪ロングでよく巻き髪します。オシャレ好きでポチャだけど身なりには気を使ってます。

性格は明るくて温厚で人見知りはあまりしません。


あなた

オシャレに気を使う

20代で金銭面自立してて普通に会話ができる人

Hの時はSさんだったら合うと思います。私ドMちゃんだから笑


お気軽にメールください。待ってます。





無難な内容での投稿だったからたくさんのメールがきた。


{初めまして。よかったらメールしましょう}

{こんにちわ。まだ募集してますか?}

{セフレとかでもいいですか?}

{東京案内しますよ。メールください}

{初めまして!関西弁が好きです。仲良くなりましょう}

等々・・・。


無難なメールに無難な内容を返す。

見知らぬ人間とのメールは続かないものだ。

お互いに恐らく興味がないだろう人間とのつまらないメールのやりとり。


その中である一人とのメールが日課になった。

仕事人間のみぃちゃん。稼ぎもいいらしくて性格も親しみやすい。電話で話した時に声がハスキーでかっこよくてドキドキした。

けっこうなSらしくHも好きらしく、でも話し方は優しくて何から何までその他大勢の中でもダントツにツボだった。


ちなみに私は性欲人間だ。Hがないと満たされずそれが別れの原因になったりする。愛されたい。

私だけを見つめる求めるあの行為が大好きだ。

私の全身を相手に感じてほしい。

私の全てを好きにしてほしい。

征服されて苦しくて泣いて頭が真っ白になって意識が遠くなる中で抱きしめられたい。

酷くされればされる程相手の所有物になった気がして満たされる。

だから私は変態がかったけっこうなMだ。相手の条件にHが好きでSというのは絶対に必要だ。



初めてのメールから一ヶ月もたたない内に私は会ったこともない女性に恋をしていた。

馬鹿げてるけど・・・まだ会った事もないけど・・・東京での生活が心から楽しみになった。


電話で話す時間が増えていく。みぃちゃんは優しくて頼りがいがありそうで私をバカだなーみたいな感じで話すけどそれがなんだか嬉しかった。


東京の生活に好きな人がプラスされた。



先日いつもの飲み仲間と呑んでるところに元カノカップルがきた。まだ付き合ってはないらしいけど時間の問題なんだろう的な雰囲気で二人は登場した。

私とモトカノが別れた事はみんな知ってる。もともとこのメンバーは私と元カノの友達の集まりで結成された。なので当然元カノも普通に集まりに呼ばれる。

みんな大人だ。私達の事にはあえて触れない。

私も普通に二人を交互に見て笑顔で挨拶をする。

自分から捨てたくせに二人をなるべくなら見たくはない。でもこんな気持ちになるのもあとわずかな期間だ。

あえて明るく振舞う。女ばかりでラグジュアリーバーのソファ席を占領して盛り上がる。

酒が進み饒舌な友達が挙手した。ハイ!とみんなでその子を指さす。発表・・・と続けた。

「ちぃに東京で彼女らしき人ができたとの事です!」

「まじで!!!!!?」全員が感極まった声をあげ他の席の客からも注目を浴びるがお構いなしだ。

みんな信じられないと目を大きくして騒いでいる。

私は恋愛は絶対慎重派だ。付き合うのに半年ほどかかる。寂しがりやのくせに遊びのHは好きじゃない。

狭い世界だ。自分に価値は持っておきたい。今どき・・・と友達に笑われる程お堅い恋愛感だ。

そんな私だからか友達は大騒ぎだ。次々に質問が投げかけられる。

「どんな人!?」「仕事は?」「かっこいい?」

私はビールグラスをグッと空けて首を横に振った。

「全然付き合うとかじゃないで。会った事もないしイイナとは思うけど相手はどう思ってるんか知らんしな。とりあえず東京に知り合いが欲しかっし・・・メールしてたまに電話するぐらいかな。」

なーんや・・・と引き際もさすが潔い友人達だ。

「もし付き合ったらむこうから報告するわ」と話題を切り替えた。

ほどなくして二次会は行き付けのバーだ、と全員その店を出た。


店のすぐ前にベンチがありそこでみぃちゃんに電話してみた。

「おつかれー。」語尾を延ばす様な話し方も声もやっぱり好きだ。店から聞こえるBGMが少し大きめで電話の向こうのみぃちゃんにも聞こえるらしい。

クラブでよくかかる様な・・・私の好きな曲だ。

「後ろでいい曲かかってんねぇ。あっ、これ○○じゃん。懐かしーな」

やっぱりこの人ツボ・・・いちいち素敵だ。

目の前の噴水や洒落た店の外装にネオンという場所が私の気持ちをさらに盛り上げた。


先に店に向かった友人達と合流したのは一時間後だった。

「遅いねーん!ラブコールか?」出来上がった友達がゲラゲラと絡んでくる。肩にまわされた手をそのままに「そうや」と失笑して見せて店員にビールを注文した。

しばらくしてトイレに立った。



トイレの個室から出ると突然元カノに手首を捕まれた。

そのまま引き寄せられて睨みつけられる。

「もう新しい女探しとんのか!ほんま頭おかしいんちゃうんか!」

普段怒る事のない元カノに初めて乱暴な言葉を浴びせられ困惑する。

「あんたも新しい彼女居るやん」

振り絞ってやっと出た声だった。

元カノは更に大きな声で言った。

「おまえを忘れる為や!でもまだ忘れられへんから付き合われへん言うてる!」

私の顔の横を拳が横切った。

ダンッ!とトイレのドアが振動で震えるのを背中で感じ心臓にも響いた。

硬直して動けない私の唇は元カノの唇で塞がれた。

「やだっ!」

すぐ手首を振りほどくと胸倉をつかまれもう一度口付けられた。

その時人がこちらに向かってくる気配を感じ私は解放されトイレから飛び出した。


バックをとり千円札をテーブルに置いて店を出た。


涙腺の弱い私はタクシーに乗り込み泣きながら自宅に向かった。

胸元の伸びたキャミソールはゴミ箱に捨てた。



翌日の夜私は元カノとその新しい彼女と居た。

昨日はゴメンという事。もう今日でちぃとは会わないという事。二人が付き合うという事。

新しい彼女から{寂しかったら誰でもいいアンタなんかに絶対に渡さない}と言われた事に多少傷つく。

でもいい。私の未来は東京にある。ばいばいだ。

二人が帰り入れ違いで友人が到着して談笑しているとみぃちゃんからメールがきた。

{今話せる?}{もちろーん!}ハート付きのメールを返すとすぐに着信が鳴った。

友人にちょいゴメンて顔をして店の外に出る。

「もしもし。おつかれ。」

みぃちゃんが低い声で続ける。

「あたしのメアド誰かに言った?」

私の思考がとまる。ん?

「なんで?言ってないよ」

「ちぃの事で知らないアドからメールきた。どんな関係?ってさ。普通に友達って返したけど。」

なんで?言葉が出ない。

「あっ、今また入ってきた。えーと・・・ちぃの携帯全部見たけど。ってさ。なにこれ?どういう事?」

私はさっきの記憶を辿った。あの時だ!!!

あの二人と居る時に店の場所がわからないと言う友人を迎えに行った。近くだったから携帯は机に置いたままだった。

まさか・・・そんな事をされるなんて思ってもなく小さく呟いた。

「ゴメン。携帯置いて席離れた事があったからその隙に元カノカップルが見たかもしんない。」

「まじかよー。またメールきた。ちぃと連絡するなってさ。もう無視しとくかんね。」

ごめんしか言えなくて・・・どうしよう・・・って涙が出てきた。

「泣くなよー。もうほっときゃいいじゃん。」

だんだんとムカツイテきた。なんでそこまでされなあかんねん・・・。

「ちょっと元カノんち行ってくるわ。」

私の新しい幸せも許せないくらい私の事嫌いなんだ・・・。それならそれでいい。私も吹っ切れたよ。

「行かなくていいって。こういうのは無視だよ。もし会っても東京の子とは切れたんだって言ってたらそれでおさまるでしょ。」

ほんとにみぃちゃんて大人だな。益々好きになっちゃった。

「とりあえずまた連絡するね。ほんとにごめんね。」


30分後には元カノの家に居た。彼女は帰ったらしく、私は元カノと散々な口論になった。

携帯なんか見てない!と言うモトカノ。

確かに履歴もなかった。と、いう事はあの女か!

念のために携帯を逆に折って財布の中の有り金40000円を叩きつけて部屋を出た。


完全に終わったと強く実感した。


みぃちゃんにめんどくさいとか思われてないかな・・・また私と関わる事で何か嫌な思いさせたらどうしようとか・・・考えたらなかなかどうメールしたらいいのかわかんなくておはようのメールの返信も出来なかった。


私は会った事もない人に完全に心を奪われていた。

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