第1章 出生から幼年期
――ひとり遊びの世界の中で――
1972年、山口県の山あいの町に生まれた。
母は保育士、父は塗装業を営み、4歳年上の兄がいた。
わたしが生まれて間もなく、母は保育士として職場に復帰した。
そのため、赤ん坊だったわたしは、母の勤める保育園の片隅で寝かされていたという。
生後9ヶ月になる頃には、正式にその保育園に入園した。
しばらくして母は父の仕事を手伝うために保育士を辞め、家業に専念するようになった。
保育園時代のわたしは、友だちと遊ぶよりも、ひとりで遊ぶことが好きな子だった。
年中の頃、ピンク・レディーのまねをして友だちと踊ったことがある。
それが、今でも覚えている数少ない「みんなと遊んだ」記憶だ。
誕生日会に呼ばれることもあったが、輪の中でどう過ごせばいいのか、どこか落ち着かない気持ちがあった。
みんなが親のお迎えを待っている時間、わたしはひとりで鉄棒に向かっていた。
どうしても逆上がりができなくて、何度も何度も挑戦していた。
誰かに見てほしいというよりも、できるようになりたくて、ただ夢中だった。
家では、両親が共働きで家を留守にすることが多く、
兄と過ごす時間がほとんどだった。
その時間の中で、どこか心の奥に“寂しさ”のようなものが、静かに積もっていった。
バイクで出かける母を後追いしてひとりで遠くまで歩いていたこともあった




