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反転世界~白いワンピースの少女に連れられたそこは、サカサマの世界。時渡りの運命に導かれて、同じ時間を繰り返し廻り続けることに~  作者: 蒼生芳春
第2部

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38 計画の全貌

 円卓周りの椅子に全員が座った。

 カイから時計周りで、アイラ、老練の男、リナ、ステルン、タツの順に座っている。ステルンは座っているといっても、椅子の背もたれに立っているのだが。

 

 まずは、リナに促されて、それぞれが自己紹介をした。カイは、ステルンもタツも知っていたし、アイラからは先ほど自己紹介を受けていたので、知らなかったのは老練の男だけであった。


 老練の男は自らは声を上げず、リナが紹介をする。


「この人はティズ・トルシオンさんです。この中では一番若いけど、実力は本物です。今回の作戦の鍵はステルンさんですが、ティズさんもいないと成立しません」


――一番の若手? ああ、何度も忘れるが、この世界では年齢が逆なんだよな……。一番年上にしか見えない。


 ティズと名前を紹介されたその男は頭を少し下げて、挨拶をしているようだった。何も言わない様子をみて、まるでアキを見ているようだったが、ティズはただ話せないだけで、実際は、礼儀正しいのかもしれない。


 そして、一通り自己紹介が終わると、今度は、ステルンから、現在の王都フレメルナの様子について説明があった。ステルンは、内部に既に侵入している同じハム族の仲間から仕入れた情報とのことであった。

 

 王都フレメルナは貧困区画、王立区画の2つに分かれており、貧困区画では奴隷や罪人が労働力として働かされており、王立区画では、食べ物に溢れ、優雅な生活がなされている。そして、その王立区画の中心にオシオがいる赤き城が存在する。

 

 さすがに赤き城の内部までは構造は分かっていないが、オシオがいるのは当然玉座であろうとのことであった。


 そして、先の爆発については、どうやら最近オシオが行っている実験の最終段階に来ていることを示すものらしい。


「実験?」

 

 カイがステルンに尋ねる。


「ああ、山落としの最終実験だ。炎諏佐の国と天照の国に火山があるのは知っているだろ? それを天照の国側に落として、天照の国を溶岩で包み込む計画だ」


 ステルンによると、この間、小さな地震のような揺れがフレメルナ内では頻発していたとのことで、近いうちに、小規模の山落としを実験の最終段階として行うのではないかということであった。それは、この町ノクシアに溶岩を流し、町を全滅させるというものだ。


「ちょうどフラガルトにノクシアを占拠されているんだ。あいつらにとっては、好都合だろ? ここの住民全員を、町ごと消し去るつもりなんだ。ノクシアを、溶岩で包んでな」


「そんなことが本当に可能なの?」

 アイラが少し声を震わせながら尋ねる。


「おそらく。奴らは最近ある遺物の研究をしている。それはダイナマイトと言われる物らしく、爆発すると、とんでもない威力がある。それに、天照の国から魔術師を大量に拉致している。ここからは推測だが、この2つを考えると、恐らく魔術師によってその爆発の威力を高めて、山落としを実現するつもりなんだと思う」


――ダイナマイト? そんな物までこっちの世界にあるのか。


 ステルンの言葉に、カイの脳裏で、時限竜との戦いで崩れる家屋と焼けた匂いがぶり返した。タツの口も開きかけたまま止まり、アイラでさえ笑顔を作れていない。

 そして、今まで石像のように動かなかったティズが、初めて拳を握り直していた。


 しばしの沈黙。


「それじゃあ、今度は、私から今回の計画、王都フレメルナを落とす計画の話をするわ」

 

 リナが話題を変えようと、計画について話をし出した。リナによると、この実験を逆に利用して、王都フレメルナを文字通り、山から落とすということらしい。


「落とすって、本当に落とすって意味だったのか?」


 カイが口を挟むと、リナは「ええ、そうです。まあ、実際には王都の崩壊に近いかもしれませんが」と笑顔で答えた。


「でも、そこには無関係な住民もいるんだろ? その人たちはどうするんだ?」


「それは、ちゃんと考えてあるから安心してください。その時は、ティズさんの出番です」


 その後、リナから詳細な計画が伝えられた。

 

 まずは王都へ侵入し、その後、王立区画に向かうグループ、貧困区画に向かうグループ、そして、遺物のダイナマイトを探すグループの3つに分かれる。


 王立区画に向かうグループは、カイ、アイラの2人、

 貧困区画に向かうグループはティズ、タツの2人、

 そして、実験区画を探すグループはリナ、ステルン2人とのこと。


 カイたちはオシオの討伐を、ティズたちは住民の避難を、ステルンたちは山落としの道具であるダイナマイトを、それぞれ目指すことになった。


「この計画の問題点は?」


 カイが問うと、リナは即答した。


「色々ありますが、一番はやはり暁焔軍(ぎょくえんぐん)暦永軍(れきえいぐん)の2つですね。

輪守軍(りんしゅぐん)のヴァースはカイさんが倒していますが、まだこの2つの軍隊が残っています」


暁焔軍(ぎょくえんぐん)のネイフと、暦永軍(れきえいぐん)のシャーデンね......。リナちゃん、もしかして、今その2人が王都にいるってこと?」

 

 アイラが眉間に皺を寄せる。


「ええ、そうです。進攻・制圧を担う暁焔軍(ぎょくえんぐん)の隊長ネイフ、諜報、暗殺を担う暦永軍れきえいぐんの隊長シャーデンが今王都に集結しています。その意味では、タイミングは最悪だけど、この前の爆発からすれば、もう待っている時間はないと思います」


 聞く限り、なんとも無謀なように思われる作戦ではあったが、カイはリナに協力をするしか道はない。カイは、アキのいる天照の国に行くためなら今は何でもするしかない。


「それでは、これで作戦会議は終了です。まず、王都に侵入するのは明後日です。それまで各自準備をしましょう」


 リナが高らかに宣言をすると、皆(ティズを除いて)が声を張って返事をした。


「あっ! 料理まだ来てない!!!」


 アイラが立ち上がって叫んだ。

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