表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

危険な王とひどすぎる魔導書

 そう叫んだ。

 広間が静まった。

 次の瞬間。

 「とらえよ!」

 王の声が響いた。

 その声を合図に、部屋に隠れていた兵士が私を襲ってきた。

 あの質問は、ただ望みを聞くだけで、油断させる作戦だったのだ。

 (この王は危険だ!)

 本能がそう叫び続けている。

 敵の兵士は10人、敵の魔法使いは2人、私は一人。一分で倒せるかもしれない。

 王は私の性格を温和と思ったのだろう。確かに温和だが、私は柔道、空手、合気道、弓道を習っていた。

 危険な男子が多くて、なめられないよう必死だったからだ。

 (5秒で一人!)

 まず向かってきた人をするりとよけ、首筋に手刀を打ち込む。次にやってきたやつは顎を蹴り飛ばして投げ飛ばす。その投げ飛ばした人で、1人倒れた。後ろからやってきた人には後ろ蹴りの後、グラングランするように頭をたたいた。

 残り、8人。

 さっきいただいた槍を使って、持ち手で撃退する。刃だと、なんかかわいそうだし、私はなぎなたをやっていないからだ。ひたすら頭をたたくたたく、たたきまくる。ちょっと力が入りすぎていたようで、あと、刃を少しかすらせてしまったようで、いつの間にか私の周りには血が飛び散っていたけど気にしないことにした。

 残り、2人。

 その二人はまほうつかいだった。

 (魔法って軌道読みずらいんだよね最悪)

 でも、隠し持っている魔導書を持っているかもしれない。

 そう思ったら、体が勝手に動いた。

 高く飛び上がり、うろたえる二人の後ろに降り立ち、首に手刀。

 槍だと、うん、完全に殺しちゃう確定だからね。

 そして服の中をあさる。完全に泥棒だけど、手を汚してもうれしいことがあった。

 基本の魔導書、応用の魔導書。しかも全属性。

 きれいな水晶玉がついた杖。使いやすそう。

 中が見える、薬入れ。これは安心。回復薬と毒を間違えて飲まないようにしておいてあるんだよな。推測だけど。こう考えてるってことは私も毒を使うかもしれないんだけど。

 採集用の手袋。薬草の採集に使える。黒色なので、汚れが目立たないだろう。

 王を見ると、完全におびえている。

 「すみません、勝手に体が動いてしまいました。」

 ごめんなさい、嘘です。

 「でも、私の望みは魔法研究者なので帰っていいですか?早くやりたいので。あと、兵士のお片付けに敵が協力するって聞いたことないでしょう?」

 ごめんなさい、半分マジで半分嘘です。

 「帰ります。さようなら。」

 そういって私は王宮を去った。

 帰り途中、魔導書をめくってみた。

 最後のほうのページにこう書いてあった。

 『魔法研究者にはならないほうがいいでしょう。放浪の旅になります。』

 (ふっざけんなこんのくっそ魔導書め!)

 殴ってやろうかと思ったけど、それだと吹っ飛んで読めなくなるだろう。

 それに私の夢は変わらない。

 「歴史一、いや、宇宙の歴史の中で一番の魔法研究者になってやる!」

 みんなに見られてるけど、気にしない。この視線の中で生きていくのだ。

 絶対、絶対なってやる!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ