魔法国 レレイオールへ
私は夜桜里美。夢想家で魔法使いになりたい小5。髪の色が茶色で、光の反射によっていろんな色に変わるけど、あまり気にしていない。
ある夜、少し散歩していた。
すると、急に足元が光った。
下を見ると魔法陣がある。六芒星がいくつも重なったような形をしている。
(きれいだなぁ…)
一瞬強く光ると、私をするりと飲み込んだ。
ゆっくりと暗闇の中を落ちていくが、そんなのにへこたれる私ではない。
ここで死んだとしても、転生できるのだ。
それに、もし死ななかったら、魔法の世界に行けるかもしれない。
でも、もしここで放り出されたら、一生魔法陣を恨むだろう。
結局私は吸い込まれていった。答えは、『魔法の世界に行ける』だった。
「やったねー!初めての魔法国だよ!いやっふう!」
一人大興奮していると、だんだんワーワーと声が聞こえてきた。
多分落ちて魔法国(仮)につくのだろう。
そして、すとんっとふわふわのソファがついて大きなそり、ではなく山車っぽいものに落ちてきた。
周りにはたくさんの人がいる。みんな、すごい色の髪の毛だ。赤、青、緑、黄、黒の中にある。青緑みたいな人もいる。
もしかしたら属性を表しているのかもしれない。
ぼんやりとそんなことを考えていたら、上のほうからマイクで大きくしたような声が聞こえてきた。
「ようこそ!我が国、魔法国レレイオールへ!全属性の聖女を!迎え入れよう!」
「魔法国、レレイオール!?」
思わず飛び上がってしまった。
変な頭の人々の間を通り抜けながら考えた。
(この髪の色、まさかとは思うけど、属性かな。赤は火、青が水、緑は樹、黄は光、黒は闇なんじゃないかな。だとしたら超ファンタジーだよ)
壁が見えてきた。すると、壁に突入した。
すけたのだ。まるで光を景色にしたように。
そして、白い道を進み、お城が見えてきた。
お城の前でぴたりと止まり、どこにあったのかスロープがスルスルと山車から降りてきた。
それに続き、私も山車から降りた。
(つやのある、きれいな白石……集めるのに苦労したでしょうね……)
従者が恭しくお辞儀をし、背を向けて歩き出した。ついて来いというのだ。
そのまま、迷路のように複雑なお城の中を進み、玉座のある部屋に行った。
「ごきげんよう、陛下。お初にお目にかかります、夜桜里美でございます。」
王道ファンタジー小説でそんなことを言っていた気がするので、そっくり使わせてもらった。まぁ、自分の名前を入れたんだけどね。
「待っていたぞ、サトミ。その髪の色、まさしく聖女にふさわしいな。」
その言い方にカチンときた。
髪の色は茶色で、光の反射でいろんな色に変わるだけだ。
『聖女にふさわしい』なんて意味が分からない。
「わたくしの髪の色は、この通り茶色です。光の反射で、変わるだけですよ?」
あおるような口調で言っておいた。
しかし、王はひるまず、
「はっはっは。では、聖女ではないお前の望みを、この世界の範囲で一つかなえてやろう。」
といった。
なかなか意地悪な王だ。『この世界の範囲』というわけで、私は元の世界に帰りたいを言っても無駄ということだろう。
そこまでして私を返したくない理由がわからない。
でも、この夜桜里美、この世界での望みは一つ!
「魔法っ研究者にっ!なりたいですっ!」