2023年10月3日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和之の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#104 記念日
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
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こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
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③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
サイト投稿回数 第57回目の今回は………
2023年10月3日放送。
妄想【愛の劇場】#104 記念日
ずっと、ずっと、ケンカしてるつもりなのかな?
ママはずっと不機嫌で、パパは最近帰りが遅い。
私は二人の様子を見ながら、どうして良いのか分からない。
だって、ケンカの原因が分からないんですもの。
ケンカの始まりは、一週間前だったかしら。
でも、朝からいつもと変わらないパパとママだったの。
パパとママは、いつも二人で歌を歌っていたわ。
歌の好きなふたりだったの。
「おはよー、今日も美しい、ボクのイブー♪」
「おはよー、今日も素敵な、まひ郎さん♪」
「「おはよー!今日も愛らしい、八巻子ちゃんー♪♪」」
「おはよう、パパ、ママ」
「今朝のハムエッグも、ボクの心の様にごきげんだよー♪」
「うふふー、おかしな人。いつもと変わらないハムエッグなのにー♪」
「いただきますー♪」
「いただきます」
「八巻子、ちゃんとサラダも残さないでねー♪」
「あはははー♪ママの作るご飯は、美味しいから、八巻子も残さないよなー♪」
「うふふふふー♪パパったら、正直なんだからー♪」
朝からいつもこんな調子で、仲良しだったのに……。
私が学校から帰って来たら、ママの様子がおかしかったの。
「ただいま、ママ」
「お帰りなさいー、八巻子ー……♪」
歌って迎えてくれたけど、あまり元気がないみたい。
「ママ、どうしたの?」
「おかしな八巻子、ママはどうもしないわよー……♪」
やっぱりママに元気がない。
朝はあんなに元気だったのに……。
こういう日に限ってパパはなかなか帰って来ない。
夕食の時にママに聞いてみた。
「パパ、遅いね」
するとママは不機嫌になった。
「パパの事はいいから、早くご飯食べなさい……♪」
私はこの時に、パパとママがケンカをしたのだと気が付いた。
この日以来、パパの帰りが遅くなった。
この日以来、ママは不機嫌になった。
この日以来、二人は歌わなくなった。
仲直りをして欲しいけど、どうしたらいいのかな?
二人の様子を伺いながら、私はケンカの原因を探る。
私と居る時は、から元気なママ。
私と居る時が、少なくなったパパ。
ママにパパの話をすると、不機嫌になる。
パパにママの話をすると、パパは忙しいから今は無理だと煙に巻く。
二人は私に笑顔でいようとするけれど、私の笑顔が引きつっている事に気が付いていないの?
私は今のパパとママが、大キライ!
あれから一週間になる。
私はやっぱりどうして良いのか分からずに、大キライなパパとママの様子を朝から見ていた。
早く仲直りして欲しい。でも、どうしたらいいのかな?
今日も気持ちが上がらないまま、学校から家に帰る。
「ただいま、ママ……」
「お帰りなさいー、八巻子ー♪」
ママの様子に私は呆気にとられた。
「ママ、どうしたの?」
「八巻子ー、早くこのワンピースに着替えていらっしゃいー♪」
差し出されたのは、真新しいピンク色のワンピース。
ママはいつもの大スキなママに戻っていた。
私は言われた通りに、ワンピースに着替えてお気に入りのポーチを肩からかける。
お気に入りのポーチには予めママが貴重品を入れてくれている。
玄関に行くとピカピカに輝く革靴をママが用意してくれていた。
淡いミントグリーンのワンピースを着飾るママは、とてもキレイだった。
「ママ、どこに行くの?」
「ふふふー、とても素敵な所よー♪」
ママの車の助手席に座る。
ママはとても楽しそうに運転をする。
ママはとても機嫌がいい。
私は今のママが、大大大スキ!
30分くらい車を走らせると、とてもオシャレなレストランに到着した。
駐車場でパパが待っていた。
スーツ姿のパパは、いつもと少し違って見えた。
ママの車のドアを開ける。
ママの右手を手に取る。
優しくママをエスコーしながら、パパはママと私をオシャレなレストランに案内した。
席に着くと、美味しそうなコース料理が、テーブルを所狭しと並んでいく。
「素敵なレストランねー、美味しい料理も嬉しいわー♪」
「ボクはイブの作るご飯ほど、美味しい料理を知らないよー♪」
二人はレストランでも歌っている。
いつもだったら恥ずかしいけど、今日はパパもママも嬉しそうだから私も気にしない。
そんな時に、ふと女性に声をかけられた。
「結婚記念日、おめでとうございます!」
そう言うと、大きなケーキをテーブルに置いた。
「「まあー、ありがとうございますー♪」」
パパとママは、歌ってお礼を言った。
「……結婚…記念日……?あっ!!!」
私は思わず声を上げた。
「ふふふー、大きな声を出して、おかしな八巻子ねー♪」
ママに笑われてしまった。
だから今日はママの機嫌が良かったの?
「八巻子にはー、嫌な思いをさせてしまったねー♪」
「パパ?」
「パパはー、今日からママと一緒に過ごす連休をとるために、お仕事を頑張ってきたんだよー♪」
「ママにも内緒だなんてー、酷いパパねー♪」
そうだったんだ。なんだ……。
理由が分かった途端に、私は涙が溢れてきた。
「ふ……、ふ……ふ。ふぇぅふわあぁぁぁぁ……ん!」
「「八巻子!!」」
安心して、私は声を出して泣いてしまった。
私の様子にパパとママは慌ててる。
結婚記念日おめでとう!って、ちゃんと言えなくてごめんね。
だけど、ずっと心配させたのはパパとママだからね。
だから、今年はお祝いなんか言わないんだからね。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#105「美白」