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ブンドド!  作者: ぶらぼー
第一部
214/228

天上災禍㉓

 グウパンが足を一歩()み出したかと思うと、その姿が消える。刹那せつな、グウパンはフライデの目の前に姿を現し、右足でハイキックを繰り出す!


(速い)


 イルタは上半身を反らしてりを紙一重でかわす。間髪かんぱつ入れずに今度は左足による後ろ回し蹴りがフライデに向けて繰り出される。イルタは後ろにステップしてこれもまた躱すと、銃口をグウパンに向けて、複合武器の引き金を引いた。


 ギャオン!


 金属の頭を吹き飛ばすはずだったオレンジ色の高出力ビームは、何ものをも貫くことなく空をく。グウパンはまたも姿を消していた。


(後ろか)


 グウパンはフライデの背後に回っていた。するどいミドルキックがフライデに向けて放たれる。イルタはそれを複合武器の刃で受け止める。


 フォン!


 次の瞬間、フライデの姿が消えた。同時にグウパンも姿を消す。


 ガガガガガ!


 戦っている当人たちの姿が見えぬまま、金属がぶつかり合う音が周囲に響く。数瞬の後、互いの攻撃に弾かれたグウパンとフライデが、ビッグスーツ三機分の間合いを取ってサーズデの上面に着地した。




「な、何アレ……やり合えてるの? アレと!?」


 リュウビを切り離し、サーズデの上面に着地したリンコが、目を丸くしておどろく。


「安心しちゃダメだ!」


 膝立ひざだちで様子を見守るピエンが叫んだ。


「最初からそれでやり合えるならすぐ使ってたはずだ。リスクなしに使える技じゃないってことだ!」


 グウパンを見つめるピエンのアローフォームライフルをにぎる手に力が込もる。グウパンの足は腕ほどではないが、今のフライデとの攻防で傷だらけになっている。だがオコジが痛みによる反応を示している様子はない。それは決してプラスにとらえられる現象ではない。〝禁技きんぎ〟と呼ばれるその術の危険性が垣間かいま見えてるのだ。


「確かにそうだが……あの速さについていって援護えんごできる自信はそうないぜ?」

「四人掛かりって言い出したのはニッケルでしょ。私も手伝うから腹をくくって」


 ニッケルはウェハーに意識を集中し、リンコはマークスマンライフルを構える。それと同時に、膝をついていたピエンは立ち上がってアローフォームライフルを構えた。


「流石に僕もがんばらないとねえ……!」




 ◇ ◇ ◇




 真っ向!


 カリオは真っ直ぐにビームソードを振り下ろす! マドクは左のトンファーでそれを受け止め、右のトンファーで横から殴りかかる! カリオは真上に飛び上がると回転しながらサーズデ・クアの背後に着地、腰を落として右から左へビームソードを薙ぐ!


 逆水平!


 だがマドクはこれにも対応、身体をやや捻って右のトンファーでこれを受け流す。そして両者向き合い互いに連撃を繰り出す!


 袈裟けさ斬り! 逆袈裟ぎゃくけさ! 刺突! 逆真っ向! 袈裟斬り! 袈裟斬り! 逆水平! 真っ向! 逆袈裟! 袈裟斬り! 横一文字! 逆真っ向! 袈裟斬り! 逆袈裟! 横一文字! 逆袈裟!




 ガキィン!


「ぐぬぬ……」


 互いの攻撃が衝突して止まり、じりじりと押し合いになる。


「手こずらせるなカリオ・ボーズ。雇われの傭兵ようへいだったか?」


 ガガガガガ!


 互いの攻撃をさばいた両者は再び乱撃を衝突させる!


 その隙間すきまうようにマドクは右のトンファーを薙いで横からブンドドマルの胴を狙う。カリオはビームソードを縦に構えそれを受け止め、サーズデ・クアの腹部に前蹴りを入れようとする。マドクはそれを素早くバックステップで回避、そこへカリオが踏み込み、間合いを詰めて左斜め上から袈裟斬りを放つ!


 ガン!


 マドクは斬撃を右のトンファーで受け流した。互いに一歩下がり、構えを取ってにらみあう。




(参った、すぐに終わりそうにねえ。コイツ倒してもデカブツに何ら影響なかったりしたらどうしよう……)


 口をへの字に曲げて考えているカリオに向かって、マドクは口を開く。


「なるほど、少し我々に()()()()()()()()ということか。確かシャマスの妹分と行動を共にしているんだったな」

「そんなことまで知ってるのかよ。ストーカーじゃあるまいし」

「プルツ・サンデの事件は私としても興味深かったのでね。シャマスにも話は聞いた。奴の機体の試作型が暴れたとなれば調べずにはいられまい」


 見つめ合ったままマドクは続ける。


「何を話そうとしてたか……そうだ、我々に近づいてきている」

「近づいてきている?」

「イニスアの囚人などと言われている我々にな。傭兵なのだろう? 以前と比べて戦闘が楽になったり、怪我をしにくくなったり治りが早くなったりしている実感はないかね?」


 カリオはそう言われて思い出す。ここへ来る前にヤムから気を失った原因となった頭部の怪我のことを聞いた。通常ならかなりの重傷でも不思議じゃないが、短時間で戦闘に復帰できるまで回復している。リンコやニッケルも最近は怪我の回復が早いようだった。


「……心当たりがあるようだな」

「む……」

「恐らくは〝ソウル〟――〝たましい〟の強化が進んでいる。シャマスの妹分……エシュルと言ったか。そいつと行動を共にしていることでな」

「えっ……魂?」




(天上災禍㉔ へ続く)

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