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ブンドド!  作者: ぶらぼー
第一部
189/227

トリプル・オジョウサマ・ティーパーティー⑧

 ガシャン!


 「フェンテンブロ」の先端せんたんから正六角形状に配置された六つの銃口が出現し、回転を始める。ガトリングガンだ!


 ダダダダダダ!


 実弾をばらきながら、ポネはぎ払うようにフェンテンブロを横に振る。


「避けろォー!」


 十一機の量産機は一斉に散開する。ある者は上に跳び、ある者はかがんで、ある者はポネの視野の外まで大きく動いてガトリングガンを回避する。




「いくらお前らの腕が立つといっても、並のガトリングガンでやられる俺達じゃ――」


 量産機乗りの内一人がポネの背後に回り、ビームライフルを構えて反撃しようとした時だった。「フェンテンブロ」のガトリングガンの銃口の反対側――本来であれば台尻にあたる部分に、もう一つ銃口が見えたのだ。


 バォッ!


 その銃口から緑色の光があふれ、一瞬の内に背後に回っていた量産機を包み込む。光が消えると、そこに現れたのは上半身が消え去った量産機の足だけだった。


「ビームバズーカ!? あの武器……ガトリングガンの反対側に!?」

「気をつけろ! ただの武器じゃないぞ!」




 残り十機。ポネは再びガトリングガンを敵機に向ける。量産機達は一斉にビームシールドを展開して射撃に備える。だが――


(――ガトリングガンの銃口の下……あれもまさか銃口――)


 カァン!


 甲高い銃声と共に、凄まじい速度の弾丸が量産機の内の一機目掛けて放たれる。弾丸はビームシールドの発振器はっしんきを、量産機の腕と胴体ごと貫いた!


「まさか……ガトリングガンの下にレールガン!? それも対ビームコーティングの弾丸を……」

「馬鹿な! 仮にそんな設計の武器を作れたとしても、並の奴じゃ持てない重量になるぞ!」




 ボボボボボン!


 フェンテンブロの側面からマイクロミサイルが何発も発射される! 量産機がミサイルから逃げ回るそこから少し離れた位置で、レイラとイセは再び向かい合っていた。


「相変わらずポネは怒ると怖いですわね」

「ふん……」


 数で勝りながら、一人の女性相手に劣勢となっている部下達を見て、イセは歯軋はぎしりした。


「情けねえ奴らだ。俺が加勢しなきゃいかんかね」

「させませんわ」

「出来るのかい? 剣を取り戻したところで身体は万全じゃねえだろう?」


 イセは再び左手にショットガンをにぎるとライフルと共にレイラの方へ銃口を向け、発射した。レイラはおくすることなく地面を蹴ってタルタルに向かって突撃する。




 姿勢を低くしてタルタルから放たれたビームをくぐり抜けるレイラ。突っ込んでくるアカトビの速さを見て、イセは口角を吊り上げる。


(さしもの有名人でも最初よりスピードが落ちてやがる。もらったぜ懸賞金!)




 ビュオッ!


「!!」


 イセはタルタルの側方から飛んできたビームリボンに気づき、慌てて飛び退いた。攻撃の主はもちろんベル・カマンだ。地面にひざをつきながらもその右手には力強くリボンの柄が握られている。


(出力を調整して長さを調整したか。しかしまああの傷で)


「……ベル様」


 カァン!


 量産機をまた一機、レールガンで射抜いたポネは一瞬ベルの方を見やる。


(貴女はレイラ様の事を倒れない、と言いましたがレイラ様から見れば貴女は――何度倒れても決して負けない女性ヒト




 ビュオッ! ビュオッ!


 凄まじい速度でビームリボンの先端が、タルタルを追いかけて飛び回る。


(なんだこの速さは! 奴はまともに立てやしないんだぞ!)


 グワッ!


 突然リボンの先が向きを変えると、今度はタルタルの周囲を囲むように回り始めた。タルタルを包囲したリボンは、獲物えものを締め付ける大蛇だいじゃのように、素早くその回転半径を縮めていく!


 コテン流戦布術、アイネ・クライネ・ナハトムジーク!


「ヤバい!」


 イセは半ば転がるように、その輪からくぐり抜けるようにして脱出する。左肩をリボンが掠めて、装甲が削れ、陥没かんぼつする。コックピットで肩から出血しながらも、イセはなんとか立ち上がった。




 ドン!




 その隙を見逃すレイラではない。再び地面を強く踏み込み、一気にタルタルのふところへ入る。


「コイツ…!」


 バコン!

 ダダダダダ!


 イセは再び、胸部機関砲を展開、発射する! だが三度目となる攻撃を見切り、レイラは身体を回転させながら左に回避、同時に剣を左から右に薙ぐ!


(クソッ! 同じ方へ避けてやがるのに、さっきのマスケット銃の攻撃と比べて速すぎる!)


 たまらずイセはりながら、ビームライフルを斜め前に出してしまう。レイラの剣はイセのビームライフルを真っ二つにし、同時にタルタルの胸部を深く斬りいた。


「ぐあああ!」


 コックピットで胸から血を噴き出し、イセは苦悶くもんする。慌てて後ろへ二回、大きく飛び退いたイセをレイラはにらんだまま、剣を再び構える。


「貴方も『私も』、ベルを甘く見過ぎでしたわね。彼女のコテン流戦布術は例え両足がもげても、その手にリボンがある限り《《敗北することはない》》」




 ズシャ……


 イセはそのまま膝をつく。彼に存在を忘れられたドローンも同じように制御せいぎょを失い、地面に次々とちていく。


「こ、このアバズレどもが……!」






 ゴン


 突然、何かを叩くようなにぶい金属音が辺りに響いた。レイラ達やイセは互いを確認する。この場のビッグスーツ乗りが出した音ではない。


 ゴン ゴン


 だが何かを叩くような音は続いた。イセは音がどこからしているのか探ろうと周囲を見回した。


(俺の後ろ……確かそこには、まさか)




 ゴォン!


「GRRRRRRR!!」


 今のイセのすぐ後ろ、そこにある円柱状の設備が内側から破壊され、中から巨大なけものが飛び出す!


「GRRRRRRR!!」


 ゴシャァ!


 獣は太い左腕で一瞬にして、タルタルを地面に叩きつけて押しつぶした!




(トリプル・オジョウサマ・ティーパーティー⑨ へ続く)

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