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ブンドド!  作者: ぶらぼー
第一部
176/227

モータル・コンバット・オブ・オーチャード⑦




 ◇ ◇ ◇





 ダダダダダダ!


「うわ!」

「ちょ!」

「待てい!」


 マンタ飛行機に乗った十機以上の量産機が、ニッケル、リンコ、ボンを追いかけ回しながら各々の銃を撃ちまくる! 地上を走って逃げる三人。その様子をタヨコ、チネツ、フリクの三人は自軍後方から眺めていた。


「下手に俺達が攻撃すると味方巻き込みそうだな」

大所帯おおじょたいって面倒事増えるかと思ったけど、こういう時はいいわね」


 そう言ってのんびり見物するフリクとタヨコの横で、表情を替えずにチネツが口を開いた。


「気を抜くな。アレでやられてくれるような奴らだったら前の戦いで死んでくれている。すぐに反撃してくるぞ」




 ダダダダダダ!


「どうしようニッケル、妙に狙いが正確なんだけどこのモブの皆さん!」

「フラッシュグレネードを投げる! 三つ数えるから目をつむれよ!」

「ギャリワン承諾しょうだく


 ニッケルは腰に手をやり、フラッシュグレネードを持つ。それをチネツ達三人は見逃さなかった。


「来るぞ」


 ニッケルがカウントダウンを始める。


「三、二、一……!」




 ニッケルはフラッシュグレネードを空中に投げた。




 カッ!




 まばゆい白い光が辺りを包み込む! 量産機のパイロット達は視界をつぶされ、ふらつく!




 バシュッバシュッバシュッバシュゥバシュゥバシュゥバシュゥ!


 ニッケルはウェハーを展開し、リンコはビームピストルを構え、それぞれ敵量産型へ向けて斉射する!


「ギャリワン・ビーム!」


 ボンもフライトパックに取り付けられた小型ビームガンで応戦する!




 ドガン! ガン! ドガン!


 二人と一匹が放ったビームが、マンタ飛行機に乗った量産機の半分以上の胸や頭を貫いて、撃墜していく!




 ガガガガガガ!


「!」


 ニッケルは展開していたウェハーのバリアーを起動して、リンコやボンの所へ飛ばす。ウェハーはリンコとボンへ向けて放たれた――チネツのガトリングガンから放たれた実弾を弾いて防ぐ。

 

 すかさずリンコは背中から実弾マークスマンライフルを取り出し、弾が飛んできた方向へ銃口を向ける。その時、墜落していく量産機の残骸ざんがいの後ろで動く影を捉えた。


「……マズっ!」


 リンコはチネツの方へ向けていた銃口を大きく動かした。その先、量産機の残骸の影から桃色の機体――タヨコのゼルディがビームサイズを振り上げて飛び出してくる!




 ガァン!


 リンコは腰だめの状態でマークスマンライフルを発射する! タヨコはその弾道を見切ると大鎌を振り、その弾丸を斬り落とす!


(味方の残骸の影をつたってくるなんて器用な……!)


 リンコはすぐに腰のビームピストルを再び抜こうとするが、タヨコの大鎌の方が速い。


「今日こそ死ねクソアマァ!」




 その時、タヨコの真横で、空気が弾けるように乱れる。


「ギャリワン・スラッシュ!」


 シャウトが聞こえると同時に、タヨコは斬撃を諦めてその場から飛び退いた。ボンの乗ったエクスギャリワンが、前脚で展開された鋭い爪でタヨコがさっきまでいたそこを斬り裂いた。


「チッ、ペットまでいるとはね」

「誰がペットだこのブス!」

「……殺す!」




 シュンシュンシュンシュンシュン!


 上空のフリクの羽型ドローンがニッケル、リンコとボン目掛けて飛んでくる! 二人と一匹は大きく跳躍ちょうやくしながら逃げ回る。


 ダダダダダ!


 さらにまだ撃墜しきれていない量産機の追撃!


 ガガガガガ!


 チネツのガトリングガン!


 ブォン! ブォン! ブォン!


 タヨコの鎌と尻尾による斬撃!




 苛烈かれつな猛攻がニッケル、リンコ、ボンに襲い掛かる! 反撃する間もなく、彼らは回避行動を続けるほかない。


「いい流れになった。このまま追い詰める」

「言われなくてもわかってるっつーの」


 抑揚よくようのないチネツの声に、タヨコは大鎌を振り回しながら悪態をついた。




 ◇ ◇ ◇




 逆水平! 真っ向! 逆袈裟ぎゃくけさ! 袈裟けさ斬り! 横一文字! 逆真っ向! 袈裟斬り! 逆袈裟! 刺突! 逆真っ向! 袈裟斬り! 袈裟斬り! 逆水平!


 カリオとユデンの剣の撃ちあいが再び始まっていた。その周囲ではマンタ飛行機に乗った量産機が銃を構えた状態で二人の激闘を見ている。


「や、やっぱユデンの兄貴を援護えんごした方がいいんじゃ」

「無理だ速すぎる! 下手に撃ったらボスを巻き込んじまう!」


 戸惑う量産機パイロット達。彼らの話す通り、カリオとユデンの剣と機体の動く速度は、常人のそれを大幅に超えていた。




 ユデンの右腕の大剣が斜めに振り下ろされる。カリオはそれを紙一重かみひとえで左に避ける。斬りかれた空気がほおでるのを感じたその時、ユデンは刃を返して今度は大剣を斜め上に振り上げる。


 カリオは足を開いて大きく腰を落とし、これをかわす。そしてビームソードを両手で握り、ユデンの足元を狙って水平に横()ぎを放つ。


 ユデンは両足を曲げてジャンプし、これを躱すと同時に、左手の刀を振り下ろした。カリオはビームソードでこれを受けて、押し返しながら後方へ飛び退く。




 両者の間に距離が出来る。二人は息を切らせながら相手をにらんだ。


「チィ……やっぱりいい機体だなァそれ。随分ずいぶん強くなってらあ」

「そうだろ。ってかそれなのになんでアンタピンピンしてんだよ……! 一撃くらい食らえよ……!」


 カリオは一瞬、視線をニッケル達の方へ向けた。


(……さて、どうすっかな)




(モータル・コンバット・オブ・オーチャード⑧ へ続く)



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