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ブンドド!  作者: ぶらぼー
第一部
175/226

モータル・コンバット・オブ・オーチャード⑥




 キュゥウウウウウーン!




 尻尾から放たれたビームは辺り一帯を薙ぎ払う。激しい土埃つちぼこりがそこをおおいつくした。


「上、フリク」

「見えてる」


 タヨコがそう言うとフリクは空中に視線を移す。カリオ達三人の傭兵ようへいは空中へ飛び上がり、タヨコのビームを回避していた。


 ボンのエクスギャリワンはハネスケに抱えられて宙へ飛び上がり、辛うじて自身が初めて見る攻撃から難を逃れていた。ボンはニッケルに抱えられたまま低くうなる。


「助けてくれてありがとうこのご恩は忘れません」

「滅茶苦茶不満そうなトーンでお礼言ってくれるじゃねえか」

「動物みたいに抱えられて勇者のプライドが傷つくわ! 突然現れたアイツら一体何なんだ!」




 シュンシュンシュンシュンシュン!




 ボンがぶつくさ言っている所へ、フリクの薄い羽状のドローン兵器が襲い掛かる! ドローン兵器は投げナイフのように二人を突き刺さんと向かって来た。


「うわ来た!」

「ええい放せ、自分で飛べる!」


 慌ててニッケルとボンの二人は二方向へ散開する。二人がさっきまでいた場所をドローン兵器が高速で通過していく!




「もー! せっかく今回楽に終わりそうだったのに!」


 愚痴ぐちりながらリンコがユトに向けて二丁のビームピストルを構える。だが――




 ガガガガガガ!


 別の方向から飛んできた無数の実弾の嵐がリンコ目掛けて襲い掛かる! リンコは「エアバネ」の機能を使用して空中を蹴り、弾丸を回避する。チネツのガトリングガンだ。


 バシュッバシュッバシュッ!


 リンコはマンタ状の飛行機の上のチネツの機体、レギュラ目掛けてビームピストルで反撃! レギュラは器用に体をひねってこの連射を回避していく。


「ぐぬぬぬ……!」

「やはり以前の三人組か」


 チネツはまゆ一つ動かさず、無表情で再びガトリングガンの銃口をリンコのチャカヒメに向ける。




 ドォン!


「!」


 空気の振動と共に伝わって来た爆音の方へチネツは視線を向ける。空中を強く蹴ったカリオのブンドドマルが、青いビームソードを振りかぶってチネツの方へ突撃してくるのが見えた。


「フン!」

「!!」


 ガギィン!


 その時、カリオの横から重い斬撃が襲い掛かる! ユデンが乗るハオクがマンタ飛行機を乗り捨て、斬りかかってきていた。 間一髪のところでカリオは攻撃を察知し、ビームソードで受け止める。だが――


 ドガァ!


 強い衝撃がカリオのほおえぐり、頭を揺らした。ユデンの鋭い蹴りがブンドドマルの頭部を打ったのだ。




 ドシャッ!


 そのまま地面に墜落したブンドドマルに続いて、ハオクが着地する。


「機体を替えたようだがやっぱりサムライ兄ちゃんみてえだな」


 右手に大剣、左手に刀を持ったハオクのコックピットで、ユデンは不敵に笑う。


「これでテメエとり合うのは三度目。流石に今日でしまいにしねえとなあ」


 ユデンがそう言うと、土埃つちぼこりの中からブンドドマルが起き上がってきた。


「こっちとしては今日戦うのも勘弁かんべんなんだが。帰ってくれねえ?」


 ダメもとで頼んでみるカリオだったが、ユデンは大剣の切っ先をブンドドマルに向ける。


「おまえらもここのお宝目当てだろう? 奪っていくのか、それとも破壊するつもりなのか知らねえがそうはさせねえ。ありゃ俺達がもらう」




 ◇ ◇ ◇




「セットアップが完了した……エクスギャリワン・グレートパック!」


 前足でキーボードを叩いていたヴルームは手を止め、その金色の機械を見上げた。


「うおおお!!」

「うおおお!?」


 誰もいないはずの隣から雄叫びが聞こえてきて、ヴルームは思わず同じような驚きの声を上げてすっころんだ。いつの間にかマヨ・ポテトがヴルームの作業を横で見物していたのだ。


「何だね君は! 大事な作業中なんだシッシッ!」

「これあのバカノポメラニアンの装備ですか!?」

「彼の名誉のために訂正させてもらうがバトルポメラニアンな」


 ヴルームは目の前のノートパソコンのキーボードを再び叩き始める。


「早速射出してボンのところに――射出? しまった!」

「ほえ!?」


 ヴルームは前足で頭を抱えた。


「射出用のスラスターユニットを積み込むのを忘れていた!」

「すらすたー?」

「今、このグレートパックをボンの元へ届ける装備がないということだ!」


 それを聞いたマヨはグレートパックと呼ばれた金色の機械を見上げる。


「これを届ければいいんですか?」

「それが出来ればいいが……この艦にはあのビッグスーツ三機以外の機体や、運搬が出来る飛行機の類も積んでいないだろう……どうすれば……」

「任せろ」

「え?」


 マヨは胸を張って威張った。


「マカセロ!」




 ◇ ◇ ◇




 ガガガガガガ!


 剣と剣が激しくぶつかり合い、周囲の空気が衝撃で波打つ。


 カリオとユデンは互いに激しい斬撃を繰り出し合っていた。両者一歩も引かずに無数の剣閃が衝突して火花を散らす。




 横一文字! 袈裟斬り! 逆袈裟! 刺突! 逆真っ向! 袈裟斬り! 袈裟斬り! 逆水平! 真っ向! 逆袈裟! 袈裟斬り! 横一文字! 逆真っ向! 袈裟斬り! 逆袈裟! 横一文字!




 ガァン!


 無数の連撃の最中、渾身の一撃を放った両者は、その衝撃で互いに後方に弾き飛ばされる。体勢を立て直しながら着地したカリオは目の前の金色の機体をにらむ。


(最初に会った時の大剣をまた持ってやがる。刀との二刀流なんてトンチキ極まりないが難なくこなしやがって……)


「さて、ミッタマリを狙って来たがコイツはタナボタって奴か?」


 ユデンは口角を吊り上げながらブンドドマルを見つめる。


随分ずいぶんいい機体に替えたじゃねえか。そいつもお前の首ごと貰うぜ!」




(モータル・コンバット・オブ・オーチャード⑦ へ続く)

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