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ブンドド!  作者: ぶらぼー
第一部
138/228

転生したらロボットになってて無双&ハーレムが以下略⑨

「凄い! 凄いやァコレ! チートじゃんチート!」


 ハトシー・ロムレの外部スピーカーからタクオの歓喜かんきの叫び声が発せられ、辺りにひびく。カリオはそれを聞いて怪訝けげんな顔をする。


「外部スピーカーでおしゃべ駄々漏(だだも)らしかよ、変人パイロットめ」

「見た目以上に何か普通じゃねえな。用心して行くぞカリオ」


 死んだ一般市民の脳を利用した兵器であることなど、カリオとニッケルに予想が出来るはずもなく、二人はいつもより慎重に対処する心づもりで戦う他なかった。ニッケルは残心しつつ、機体のシステムモニターでバッテリー残量や各パーツの温度情報などを確認する。


「よし、これだけ飛んでてもまだまだイケそうだなハネスケ」

「っらぁー!」

「!!」


 聞こえてきた叫び声にニッケルは反応してそちらに注意を向ける。




 ビビビビビッ!




 ハトシーロムレの細長い四本の腕、その合計ニ十本の指の先から、細い赤色のビームが放たれる! ニッケルは落ち着いて機体を横に回転させ、高速で飛んでくるニ十本のビームを回避する!


 ドォン!


 ほぼ同時にカリオが足を踏み込み、動き出す。機体後方から再び足下に急接近するブンドドマルにタクオの大型ドローンが反応し、底面に配置された銃口を向ける。


 バシュゥ! バシュゥ! バシュゥ!


 指先から放たれるものより太いビームが、ブンドドマルに向けて発射される! カリオはもう一度地面を蹴り、ハトシー・ロムレの両足の間を潜り抜けるように、頭から大きく飛びこんだ。


「むん……!」


 前転するような形でドローンのビームを回避したカリオは、今度はハトシー・ロムレの胸部目掛けて飛び上がった。




 ブォン!




 カリオはビームソードを抜刀して斬り上げる!


「ヒッ!!」


 タクオは怯えるように一歩下がった。青い剣閃がすぐ目の前をかすめていく。ハトシー・ロムレが後ろ側へ体勢をかたむけたところへ、すかさずカリオは剣を構え直し、致命の一撃を放つ!




 刺突!




 放たれた超高速の一突きが、ハトシー・ロムレの胸部に深々と突き刺さる!


「やったか!?」


 ニッケルはライフルの銃口をハトシー・ロムレに向けたまま、様子をうかがう。




 ジ……ジジ……ジ……


「!!」

「!!」


 ビュビュビュビュビュビュン!!


 再びハトシー・ロムレの機体が光り輝き、全方位へビームが連射される!

カリオとニッケルは間合いを取りながら回避行動を繰り返す。


(胸がコックピットじゃない!?)

(だとしてもアレだけ深くされてほぼ影響なしかよ!)




 ◇ ◇ ◇




「よーしこのままこのまま」


 リンネ・リンネ社の工場では、マヨ・ミントン、そしてブンタの三人が順調に工場の北門へと向かっていた。先ほど見た損傷の激しい建物の横を、慎重に進んでいく。マヨはその崩れ落ちた外壁やき出しになった鉄骨を見てごくり、と息を呑む。


「ひぇえ、すごい壊れ方してるでげすよ」

「あれって二足歩行兵器用のハンガーじゃないですか? やっぱあの人ここから出てきたのかな」


 マヨとしゃべりながら歩を進めていたブンタは、視界の端に何かを捉えて足を止めた。


「……? ちょっとどうしたのロボ君?」


 ブンタはミントンの呼びかけには答えず、破壊された建物の方へ方向を変え、歩き始めた。


「ちょ、ちょっと! 危ないって! どこが崩れるかわからな……まさかアンタ、またフリフリのフィギュア見つけたとかじゃないわよね!?」


 ブンタは建物の瓦礫がれきの隙間から、何かの機械が光を放っているのを見た。そちらの方へ目を向けると、ブンタの視界が急にその方向へズームしていく。


「わ、わわわ!」


 驚いてブンタは尻もちをつきそうになるのを堪えた。ロボットになったブンタのカメラにも、ズーム機能は搭載されていたのだ。やがてズームが止まると、彼の視界には見慣れた――しかし実物を生でみるのは初めてという物体が映った。




「に、人間の脳みそ!?」




 ブンタの目は瓦礫の奥に、この状況の中、物々しい駆動音と光を放ちながら稼働する機械と、その中央で培養液ばいようえきで満たされたカプセル状の容器に入れられている、人間の脳をとらえていた。


「なっ!? 脳みそ!?」


 ブンタの発言を聞いたマヨとミントンが、ブンタの後ろからそちらをのぞき込んだ。




 ◇ ◇ ◇





 ドドドドドン!


 ハトシー・ロムレのこれまた細長い脚部に装備されたミサイルランチャーから、小型ミサイルが何発も発射される! カリオは上へ跳び上がると、向かってくるミサイルを見据え、ビームソード「霊月れいげつ」を野球のバッターのように振りかぶった。




 ブォン!


 ミサイルがブンドドマルに着弾するかというその瞬間、カリオはビームソードを両手で横に薙ぎ、四発のミサイルをハトシー・ロムレ目掛けて弾き返す!


 ウキヨエ流・き斬、疾屏しっぺ返し!




「ほわあああ!?」


 ダダダダダン!


 カリオは他のミサイルを躱しながら地面に着地、弾き返された四発のミサイルは全てハトシー・ロムレに直撃する! 情けない悲鳴をあげるタクオ。爆発によって発生した煙が辺りを包み込む。




「……チッ」


 煙が晴れると同時に、カリオは舌打ちした。ミサイルの直撃を受けたハトシー・ロムレに、大きな損傷は見当たらない。五体満足で、装甲も見た目にわかる程の破損はしていない。


「ガガンボみてえな見た目してるくせにしぶてえな……!」

「通用しそうな攻撃は限られているな。カリオ、大型ドローンは俺とリンコで何とかする。おまえの剣で本体は……いけそうか?」


 カリオは両手で柄を握り直し、ハトシー・ロムレに向き合う。


「やれそうなことをやってみるしかねえな!」




(転生したらロボットになってて無双&ハーレムが以下略⑩ へ続く)

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