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ブンドド!  作者: ぶらぼー
第一部
137/228

転生したらロボットになってて無双&ハーレムが以下略⑧

「全く、人が一仕事終えたってタイミングで何なんだよありゃぁ。デカいし腕はいっぱいあるし、細長いし虫みてえな……」


 カリオが文句を言う横で、ニッケルは水筒すいとうに口を付け、水を一口飲むとそのふたを素早く閉じた。


「ホントに勘弁かんべん願いたいな……! モンスタンク級ではなさそうだが、アレが市街地にでも飛び出したら洒落しゃれになんねえぞ」

「よし、もう一発……あ、ダメっぽい」


 トリガーに指をかけようとしたリンコの動きが止まる。鈍色の巨大な機体――ハトシー・ロムレが、カリオ達のいる方向とは逆方向に歩き出したのだ。


「マズったかも……! 反撃してくるかと思ったら逆だ。逃げるか隠れる気だよ、アレ」

「クソッ、初手に狙撃は悪手だったか! 俺とカリオは奴を追いかける!」

「オッケー、私は取り敢えずここで照準を合わせたままにしとく!」


 スナイパーライフルを構えた状態のリンコのチャカヒメを残し、カリオのブンドドマルとニッケルのハネスケは防壁から飛び降りた。




 ◇ ◇ ◇




「う、撃たれた! なんだアイツら! なんだ!」


 オーツカシティの農業エリア。工業地帯と市街地の間に広がる広大な畑を、のっしのっしと歩きながらハトシー・ロムレ――タクオは上ずった声を出す。強靭きょうじんな機動兵器の体を手に入れたとはいえ、ビームを撃たれるなどという恐ろしい体験はタクオにとって初めてであり、思わず逃げ出してしまうのは無理からぬことであった。


 ピピピピピ!


「!!」


 タクオの視界の隅に、レーダー画面が表示される。レーダーには後方、やや右手からこちらに高速で接近してくる、二つの赤い点を表示していた。


(追いかけてくる! どうし、どうしよ!)


 あわてるタクオの周囲を、先ほどの大型ドローンが浮遊ふゆうしながらくるくると回っている。タクオの恐怖と戸惑いは、その様子を見て徐々に薄くなっていった。


「そうだ……この装備強いんだ! さっきのヤバい攻撃だって防いだし、やっぱり俺はチートなんだ! 他にも強い武器が搭載されているかもしれないし、ゲームだとまだチュートリアルなはずなんだ。近づいているのも二機だけだし……そうだチュートリアルだ」


 タクオは近づいてくる赤い点の方へ向き直る。


「ンフフ! ウォーミングアップといきますかぁ!」




 ◇ ◇ ◇




「お、大きいの、ど、どっか行っちゃったです……?」

「! ……また警備員達が集まりそう。ここを離れよう、マヨと、えーと」

「あ、ブ、ブンタです。ブンタ・H(ホライゾン)・ナイトウ」


 場所はリンネ・リンネ社の工場に戻る。マヨ・ミントン・ブンタの三人は、ハトシー・ロムレが移動したのを確認すると、工場から脱出すべく動き出した。


「あの標識、北門出入口って書いてある! 近いかも」

「あのすげえ派手に壊れてる建物の近く通るですか?」


 マヨが指さす方をミントンは見る。外壁は大きく崩れ、屋根は上の方向へめくり上がってしまっている。内側から何かに破られたかのような壊れ方。もしかすると先ほどの巨大機動兵器が中に格納されていて、そこから脱出した跡なのかもしれない。


「……確かにちょっとばかし危ないかもねえ。慎重に、しかしスバヤク!」

「スバヤク!」


 三人は周囲に注意を向け、警備員や瓦礫がれきを警戒しながら、速足で北門の方へと進み始めた。




 ◇ ◇ ◇




「よし、追いつ……射程入った!」


 上空を飛ぶニッケルのハネスケがハトシー・ロムレに接近、ビームライフルの銃口を向ける。


 一方、地上ではカリオのブンドドマルが、疾走しっそうしてハトシー・ロムレとの距離を縮めていく。


「足下に潜り込む! 上は任せるぜニッケル!」




 ガァン!




 二人がハトシー・ロムレをとらえると同時に、遠方からリンコによる援護射撃が飛んでくる。


 ヴォン!


 工場の時と同様、大型ドローンの内一基がバリアーを形成し、リンコの放ったビームを防ぐ!


 バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!


 続けざま、ハトシー・ロムレの頭上から、ニッケルが手持ちのビームライフルとウェハーから、合わせて九つのビームをタイミングをずらしつつ発射していく!


 ヴォン! ヴォン!


 大型ドローンの残る二基が、ハトシー・ロムレの頭上に大きなビーム膜のバリアーを形成。巨体をすっぽり隠してしまう程の大きさのそれが、ニッケルの攻撃を防ぐ!


(よし、狙い通り! かなりの性能だが多分AIドローンだろう。リンコと俺の攻撃で三基全て〝上側〟に釣り出せた。あとは――)




 ドォン!



 ブンドドマルの強い踏み込みが、地面をえぐる。黒い機体はシャンダナ・スタビライザーをなびかせながら、さやに収められたビームソードのつかに手をかけ、一気に彼我ひがの距離を詰める!


「もらった!」


 カリオが柄を握り、一気に振り抜こうとしたその時――




 ビュビュビュビュビュビュン!!




「!!」


 ――ハトシー・ロムレのボディ全体が光を帯び、上下左右前後、全方位にビームを連射し始めた!


「マズいっ!」


 ザザザザザン!!


 いくつかのビームは地面に着弾、激しい砂埃すなぼこりを上げた。


 上空ではシールドを構えたハネスケが滞空している。シールドには数発分の弾痕だんこんがつけられていた。


「カリオ! 無事か!?」


 ニッケルが通信機に声を掛けるとすぐに、砂埃の中からブンドドマルが飛び出してきた。


「大丈夫、かすっただけだ。クソ、少しめんどくさそうだな……!」




(転生したらロボットになってて無双&ハーレムが以下略⑨ へ続く)


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