祈り─ある冬の日の物語─
一通の手紙が届いた。
航空郵便だった。
流暢な英語で書かれた手紙の内容は、彼女の死を知らせるものだった。
ピアニストという、
子供の頃からの夢を努力で掴みとった女性。
柔らかな金色の髪に、
白い肌に、
何度この唇を落としただろう。
───娘を愛してくれてありがとう
締めくくられた言葉。
君は・・・、
ひとりで逝ってしまったのか
降りつもる雪が、
木々を白く白く染めていく。
愛した女性よ、さようなら・・
君の旅がどうか穏やかで、
安らかであることを俺は祈る。