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(多分)悪役令嬢な転生令嬢の徒然日記  作者: 深川彩琴
プロローグ
4/8

プロローグ 3

王宮においてのタチアナ王女との謁見から一月経っていた

現在私は公爵家の応接室にて向かい合って座っている少年を半目で見ている

癖のない金色の髪、王家の瞳と言われる翠眼(当然、王女も翠眼である)

下町っぽい雰囲気が漂っているもの陛下の血を引いているのは事実らしい

こっちも愛想振りまいてるわけじゃないから偉そうに言えた義理ではないのだが

不機嫌さを隠さない…もっと言えば敵意すら感じる表情はどうにかならんのか

「先ほどの説明によりますと…母君ソフィア様とあなたの後ろ盾として

我がスレイク家の協力を取り付けたい、その為に私達が婚約関係を結ぶ…ですわね」

「そうらしいな」

会話が続かない、勘弁してくれませんかねぇ坊ちゃん

「誰が坊ちゃんだ…お前、どう見ても俺と変わらない歳だろう」

また口に出ていたか

「大体、陛下だか何だか知らないが今まで母上や俺を放っておいて

結局は王妃との間には王女しか子供が出来なかったから男子である俺を呼び戻す?

伯父上が身内の情けだと最低限暮らしていくだけの金を出してくれなかったら

今頃は親子野垂れ死にだ、それをぬけぬけと…」

「あ、それ誤解ですよ陛下と王妃様はソフィア様とあなたに十分すぎるほどの養育費と

住居として王都郊外のパルフェット地区のタウンハウスを与えておられたんですから」

「パルフェット地区の?あれは伯父上の別邸では?」

「違いますよ、あれは王妃ヴィクトリア様のご実家、グリモア公爵家の所有する邸宅です」

この一か月の間に聞かされていた事情を明かすと目の前の坊ちゃん…フランシスは眉を寄せる

「だったら何故…おかしいだろう?それだけの援助があったのなら

母上は仕立ての仕事などで生計を立てなければならないなんてことには…」

それは知ってる、だからフランシス様もソフィア様を助けて食堂で働いてたのよね

「簡単なことです、だからこそ陛下も王妃様も今度こそ周囲の反対を押し切って

市井で暮らしていた貴方がたお二人を迎え入れることにしたのですから

ついでにいうとマーロウ伯は王家に賠償金を払った上で男爵に降格…今のところはですが」

「まさか…王家から支払われていた養育費とやらは伯父上が?」

なんだか泣き出しそうな顔をしたフランシス様に少し同情する

冷遇されていたとはいえ、生活を助けてくれていたと信じてた相手がこれではね…



しばらくして二人して庭を散策中、フランシス様が呟いた

「さっき母上に伯父上が俺たちの住居や生活費を掠め取ってのを知ってたのか聞いたんだ

そしたら『知ったのは王宮に入ってからだけど、お兄様夫婦ならやりかねない

とは思ったし、陛下たちが不義理をする方々とも思ってなかったから

薄々は察してたわ、別邸もヴィクトリア様がご生家から受け継いだ邸宅だったし』って」

それでも何も言わなかったのはフランシス様を守るためだったらしい

「まぁ、そのくそ野郎…失礼、じきに男爵になる方は厳しく尋問を受けてる真っ最中ですしね

ソフィア様やフランシス様の今までの苦難が報われる日はすぐだと思いますよ」

「…くそ野郎って…下町の娘でもそんな物言いはしないんじゃ…」

「ほら、もう知ってると思いますけど私ってば転生者なんで」

…これに関しては後に王女に「転生者は関係ないでしょ」と怒られた



「伯爵への尋問…取り調べかぁ…こっちの世界でもカツ丼は出るのかしら?

あ、カツ丼ってものがそもそもないのか…」

前世でよく見た刑事ドラマの定番シーンを思い浮かべながら呟くと

何故かフランシス様がその言葉に食いついてきた

「…カツ丼?なんだそれは?丼というからには町の食堂でよく見る米料理のようだが」

意外な所に興味を持つ方だな、おい

「なんとか丼みたいなのあるんですか?」

「ああ、下町ではわりと定番なんだ一番多いのは鶏肉と卵を使ったもの…親子丼だな

なんでもかつて転生者がもたらした料理らしい」

親子丼あるんだ!いいなぁ下町

「うまく説明できませんがわかりやすく言うと親子丼の鶏肉の代わりに

カツレツ…とはちょっと違うんですけどそれの派生のトンカツというものを乗せるんです」

「トンカツ…は聞いたことがないが、カツレツなら大体の作り方はわかる

よし!帰ったら作ってみるとしよう」

…何言ってんですか?フランシス様

「あの…確かスキル持ちで『剣技』だと」

「それはそうだが、俺は敵を斬るより食材を切るほうが性に合ってるから」

あっけらかんと言われて思わず吹き出してしまう

「そうだ、フランシス様なんて堅苦しい呼び方はやめてくれ

下町育ちのせいかそんな呼ばれ方はむず痒くてしょうがないからな

母上も町のみんなもフランと呼んでいたんだ、だからレティシアもそう呼んでほしい

言っておくが『様』をつけるのも勘弁してほしい」

「わかりました、では私も家族や友人に呼ばれているようにレティとお呼びください」

「わかった、これからよろしく頼む…レティ」

「こちらこそよろしくお願いします、フラン」



これが生涯の親友…もとい悪友となるフランとの出会いだった



次でプロローグ終了です

次回ちょっと残酷表現があるかもです

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