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(多分)悪役令嬢な転生令嬢の徒然日記  作者: 深川彩琴
プロローグ
3/8

プロローグ 2

「…話を続けましょう、ロゼット家で転生者が出たというは本当のこと

これはさっきも話したわね、そしてそれはカリーナ嬢ではない、これも事実よ

ここからが新しい話題ね、転生者は公爵家の家族ではなく屋敷で働いている庭師の若者、

無いに等しいくらい弱いものではあるけれど、転生者だけあって魔導スキルもあったわ」

王女はそこまで話すと優雅な仕草で紅茶を口にする、私達はそこに出てきた単語に顔を見合わせた

『魔導スキル』魔力を必要としないものの、その人間の固有魔法として表れるものだ

多くは転生者に表れるのだけれど、偶にそうでない人にも表れる

魔力の消費もないが魔法というわけでもない

別に『スキル』というものもあるが、これは貴族だと持ってる人は多い

なお、ヒロインは付与術師としての才能を見出されて王宮に入り、王子と恋に落ちる

(ヒロイン…デフォルトネームだとローゼリィだったっけ?彼女の付与術師としての能力が

魔力なのか『魔導スキル』なのか…そこは気にした方がいいわね)



「で、その庭師の転生者なんだけど………アデル、ちょっと頼めるかしら」

王女がそういうとアデルさんがお兄様に拘束魔法をかける

「何をなさるのですか!!アデルさんもやめてください!!」

「なんとなくそうした方がいいと思っただけよ」

思わず立ち上がって抗議すると、彼女は事も無げにそう答えた

「そいつは前世でどんなファンタジー小説を愛読してたのか察しがつくような事をしたのよ

彼女、見た目は華のある方だしディオンの言う通り感情が顔に出ないタイプでしょう

ついでに言うなら、人見知りもあって慣れない相手には形式的な対応しかできない

でも、家族やディオン、その妹の貴女にはとても穏やかで優しい顔を見せる

という事を転生者と自覚した後は読書傾向から察せられる受け止め方をした」

「カリーナ様をツンデレお嬢様と位置付けたんですね」

あれか、ライトノベルの主人公にでもなったつもりだったのかそいつは

げんなりしながら聞き返すと王女は首肯いた

「それでカリーナ嬢にナンパ師みたいな声掛けをしたり無理やり男女の関係を迫ったり…

あと、貴女にも目を付けてたらしいわよ、気が強い甘えん坊妹キャラもとかなんとか」

ハーレム主人公気取り?!ないわーマジでないわー…顔見たことないけどないわー

あ、お兄様のスキルって体術に特化した武道系だったよね

借りられるなら借り受けて足腰立たなくなるまでぶちのめしたいわ

っていうかお兄様を拘束したのは正解ね、そいつ今日が命日になっちゃうもの

横目に見ればお兄様の顔が赤い、これは怒ってる

私にも甘い方だけど、カリーナ様を溺愛ってレベルじゃなく溺愛してるからね

私がやらなくてもお兄様が殺る、いや、本当に…



顔を赤くして震えているお兄様を見て、アデルさんは意味ありげな笑みを見せる

「ご安心ください、その不届き者は私の実家にてしっかりと労役とでも申しましょうか

二度とこのような考えを起こさぬよう躾けております

何分、貴方同様に義姉上が立腹しておりまして『何があっても恩赦を与えるな』とのことです」

「…アデル殿の御実家というとクレイオス辺境伯家…カリーナの姉上の嫁ぎ先ですね」

クレイオス辺境伯家ってうちを含めた三大公爵家に引けを取らぬ重鎮じゃない

まさかそんなすごいとこの子息だったなんて…いや、王女付きになるくらいだから

それくらいの家柄でないとどれだけ実力があってもまず選ばれないわね、確かに

気軽にアデルさんなんて言ってたけど失礼なことをしてたわ…後で謝ろう

「シェアラ様は…そうですね…あの方を怒らせたのなら、もはや私の出る幕は…

なんというか苛烈…いや勇ましい方ですから」

お兄様~どっちも女性に対して使う表現じゃありませんよ~

「ええ、おそらくは今も兄上と共に剣や弓を携えて魔物狩りの陣頭指揮を執っているでしょうね」

「…シェアラ婦人は領地では『クレイオスの戦女神の再来』と呼ばれているそうよ」

『クレイオスの戦女神』…御伽噺というかこの世界の創世神話に出てくる女神様だ

放つ一矢は魔人を破砕し、その剣は一振りで百の魔獣を斬り裂くというジャルダンの守護女神

そんな女傑に例えられるとは…あの引っ込み思案で怖がりなカリーナ様の姉君とは思えない…



「あ、最後に…レティシアに言っておくことがあるわ」

「なんでしょう」

思い出したといわんばかりに王女は切り出した

「この会見の前に髪の毛を一房提出させたでしょう?その結果が出たから教えておきます」

…カリーナ様の事情より本来そっちが本題じゃないのでしょうかね

「あなたの魔導スキルは『身体強化』効果は読んで字の如し

他人には使えないみたいだけどうまく使えば魔力の増幅もできるみたいよ」

なんとなくお兄様のスキル『徒手武術』に似てなくもない…兄妹だからかしら?

魔術は私の場合、四元素属性と唾つけた方がマシってレベルの治癒魔法くらいだからな

それが増幅できるなら結構当たりのスキルって感じかな



「タチアナ様、陛下に確認を取りましたところ

かの件はディオン様に名代として伝えておくようにとのことです」

会見も終わり私たちが席を立とうとしたその時だった

一旦席を外していたアデルさん…いやアデル様というべきか…が王女に耳打ちすると彼女もそれに首肯く

そして、アデル様が手にしていた羊皮紙を開きおもむろに読み上げる

「ジャルダン国王陛下よりスレイク家への言伝があります

この度、マーロウ伯爵家当主の妹であるソフィア様を側妃として正式にお迎えすることになりました

それに伴いソフィア様のご子息フランシス様とレティシア嬢を正式に引き合わせたいとのことです」

「承知致しました、父にもそのように伝えます」

仕事モードの顔になったお兄様が、アデル様からうやうやしく羊皮紙を受け取った

「この件は他家には明かさぬよう願います、正式な日取りに関しては後日先触れを」

「かしこまりました」

ここでフランシス様登場なの?!てっきり懐かしの〇るとんとか

そういうパーティーやるもんだとばかり…それだと私は選ばれないな…うん

私が「おねがいします!」って言ったら「ごめんなさい」で終わるパターン

「レティシア…それ、私しかわからないから…あとその例えはおかしいから」

王女はこめかみに手を当てながらため息交じりにそう言ったのだった




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