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プロローグ

「あぁ。全然終わらねぇ。なんだこの量は」


締まらない口調で嘆いていたのはブラック企業に勤めるある男であった。

この男は頭の回転が早く、仕事を終わらせるのが早い為に、色んな仕事を押し付けられていた。

両親も既に他界し、天涯孤独であった為に、押し付けやすかったのもあるのだろう。

締め切りが近かった為、連日の徹夜を強いられていたのであった。


カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ


「早くやらねぇと。締め切りになっちまう......」


パソコンに向かい続けて数時間

遂にこの男の脳は


限界を迎えた


ブッチンッ


「うっ」


バタンッ


この男の脳が焼き切れて生涯を終えた。


______


目を覚ますと、知らない天井であった。


(ん? ここはどこだ? 目の前が真っ暗になって......)


「ユイ。よくやったぞ! 可愛い男の子だ!」

「可愛いわね。賢い子になりそうね」


大きい人が話をしている。


(巨人? 巨人の家か?)


ふっと目に入った手を見ると小さいショボショボの手であった。


(ん? 俺が小さいのか? 子供になってる!? 転生とかいうやつか?)


「この子泣かないわねぇ。おかしいわ。キュア」


突如目の前に魔法陣が現れ光が降り注いできた。

魔法陣を目にした瞬間。その魔法陣の全ての模様が鮮明に目に焼き付き。模様全ての意味が頭の中に流れ込んでくる。


「どうだ? 大丈夫か?」

「そうねぇ。これで問題ないはずなのだけど」


(なんだこれは? 初めてみる物なのにどういう仕組みでどういう効果があるかあの模様が全て理解できるぞ......っというか魔法か? ここは異世界?)


「魔法陣はちゃんと作動されていたしな。問題はないはずだ。ということは、家の子は常識では測れない素晴らしい子だということだな! がっはっはっはっ!」

「やだぁ、ダンったら。でも、確かに賢そうな目をしているわ。これは将来が楽しみね。ふふふ」


(なんて親バカな夫婦なのだろう。泣かない赤ん坊を見てもそんな風に思うなんて。しかし、さっきの魔法陣が頭に焼き付いて離れない)


ユイへ向けて指を立てる。


(でろ!)


ブンッ


「きゃあ!」

「なんだ! 敵襲か!?」


慌てている二人に魔法陣から光が降り注ぐ。


「もしかして、この子が魔法を使ったのかしら!?」

「なに!? しかし、魔法陣を理解するのは、それなりの年数をしっかりとした師匠の下で勉強しなければいけないのではなかったのか!?」

「そうなのよねぇ。でも、この子、今指を私に向けて魔法陣を展開したのよねぇ。もしかして、言葉ももう理解しているんじゃないかしら?」


ジッと見られた俺は苦し紛れに声を発してみた

「ばぶばばばぶうばぶぶぶぶばぶうばぶぶばぶうばぶばぶ(言葉は理解できているし、魔法陣も理解できるよ)」


「あらあら、お話しできるの? 偉いわねえ。本当に理解できているのかもしれないわねぇ」

「それはすごいな! 俺より賢いではないか! しかし頭が賢いとなると将来は魔法士か? 男の子だったら剣術を教えたかったんだがなぁ」

「でも、産まれたばかりなのに魔法が使えるのよ? この子は天才よ。剣術だってきっと覚えれるわ」

「そうだな! この子は天才だな! 早く大きくならねぇかなぁ!」

「ふふふ。まだ、気が早いわよ」


(やはり、言葉はうまく喋れないな。異世界に転生か。どこかのラノベのようだな。でも、元々天涯孤独だったおれにまた両親ができたんだ。今度の両親には苦労掛けないように親孝行しないとな)


そんな決意をしているとは露知らず、両親は楽しそうに話を続けている。

すると、突然、ドアが開かれた。


バタンッ


「産まれたってのは本当か!?」

「おいおい。さっき産まれたばかりだぞ! 静かにしろよゲイル!」

「ああ、すまない。」


入ってきたこちらも大柄な男が隣に住んでいるゲイルである。ゲイルの娘も先日産まれたばかりであった。


「すまないねぇ。旦那もダンの子供が見れて嬉しいのさ」


このゲイルとアルの夫婦は、ダンとユイと昔同じ冒険者パーティで活動していた仲間で、隠居する時に同じ村で隣同士で住もうという話になり、過ごしやすい村を探して住んだのだ。

その為、もう仲間というより家族の方が近く、距離感が近い関係なのだ。


「その子がメルちゃんかぁ。かわいいなぁ。是非家のジンと仲良くしてくれよ!」

「ばぶっ」

「返事したみたいねぇ。メルちゃんも賢いのかもしれないわねぇ」

「家のメルは賢いと思うぞ! 将来は魔法士だな!」


自慢げにゲイルが話すが


「そういやぁよ! このジンがさっき魔法を使ったんだよ!」

「はぁ!? おめぇ遂に頭おかしくなったんじゃねぇか!?」

「声が大きいよ! 二人とも!」


ダンの言ったことが信じられず大きい声を出すゲイルだったが、二人ともアルに怒られる。


「ゲイルの言ったことも最もだよ。ユイ、本当なのかい?」

「それがね、泣かないのがおかしいからって私がキュアをかけたんだけど、その後にこっちに指を向けたと思ったら魔法陣が出たのよ。そして、キュアが私にかかったの」

「ユイが言うなら本当なんだろうねぇ。でも、一度見た魔法を理解して使ったってのかい? 俄かには信じがたいねぇ」

「そうよねぇ。でも、本当に天才なんじゃないかと、そう思ってるわ」

「ジンの将来が楽しみだわね」

「えぇ。本当に」


みんなの視線が集中する中、気づけばジンは寝息を立てていた。


「かわいい寝顔。とても凄いことをするようには見えないわね。ふふふ」


みんなの期待を一身に受けたジン。

この後の成長が楽しみである。

果たしてどのような未来を作り上げていくのか。まだ、物語は始まったばかりである。

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