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キフチュー仮面   作者: ジンベエ
9/25

その9

 それは二か月前の事。この頃秋山は妊娠中で、教師の職を休んでいた。その後無事出産し、そして育児休暇をしていた時期であった。それがもうすぐ終了する頃、とある日秋山は赤ん坊を連れて、車にて近所のスーパーへ買い物に出かけてた帰りに起こった。家に帰る途中、秋山は助手席の窓から、とある男性の姿が目に映った。その男性はジャージ姿で、歩道をせっせと走っていた。車の進行方向と同じに走っていたので、まだ後ろ姿しか見えていない状態。でもその後ろ姿が、何かどこかで見たような、見覚えがある。そんな気がした秋山は、運転している夫に向かって、車のスピードを速めるよう告げた。その場の言い訳をして、夫も特段気にするアレもなかったので、若干車のスピードが上がった。そして意図的にその男性を追い越して、秋山はドアミラーでその男性の素顔を確認した。するとその男性が見城であったのだ。実は秋山が妊娠出産の休暇をする、その代わりに着任したのが見城だったからだ。約一か月間だけ秋山は一緒に働いて、できる限りの指導・引き継ぎ等をやった後に見城へとバトンを渡したのだ。それで秋山はあの男性の後ろ姿を見て、もしかしてと思った事が見事に的中した訳だ。

 しかしだからと言って秋山は、別に車を停めて、見城に会ったり話したりはしなかった。あと数日後に職場に復帰する予定があったから、敢えてその時は会合を避けた。また夫とか子供とかの、家庭家族の事を優先して、自身の仕事の関係も敢えて触れないようにした。

 

 それから数日後、秋山は樹布中学校に仕事復帰した。そして見城にあの時見かけた事について、秋山は本人に尋ねた。


秋山「以前車で見かけたんだけど、あそこでよく走ってるの?」


 見城は驚きつつも隠す事なく答えた。


見城「ああ、そうでしたか。まぁ、時間がある時にですね、はい。」

秋山「へぇ~、まぁ、体格からもそうだし、体力がないとやってられないもんね、この仕事は。」


 そう言われて見城は少し照れた。


秋山「二年ちょっと休ませてもらったけど、先生のおかげで助かりました。無事に生徒たちとも

   打ち解けて、良い関係が出来たようですね。」

見城「いやいや、まだ全然ダメです。まだまだ自分も勉強しないと、つくづく思います。」

秋山「でも、担任としてしっかりとやってると思いますよ。私で良ければ、

   何でも相談に乗りますから。」


 そう秋山が発言すると、見城は何か神妙な表情をして秋山に告げた。


見城「・・・実は、ちょっと頼みたいって言いますか、話があります。」


 そして見城は小声で秋山に伝えた。


見城「ちょっと今は時間的に難しいので、次空いてる時間で。そして自分がトレーニング

   してる事も、どうか周りには秘密にして下さい。」

秋山「・・・はい。・・・?」


 当然秋山は何の事だか理解できずに、それでも見城の言う通りに従う事にした。


見城「・・・これはまだ決定稿ではないんですが、いずれわかると思います。

   そして秋山先生にも、関わってくる事と思いますから・・・。」


 と見城は重い口調で会話を閉めた。



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