その19
リングアナ「15分10秒、体固めにより中村選手の勝利です!」
第二試合が終わった。その様子を見ていた高実は、軽くボソッと呟いた。
高実「・・・思ったよりも早く流れてるな。」
近くにいたスタッフの一人がそれを聞いて、高実に尋ねた。
スタッフ「早い、ですか?」
そう聞かれたので高実はそのスタッフに答えた。
高実「ああ、もう少し遅くなると思っていたが、三十分もかかってないだろ?ここまで。」
とスタッフに言ったその時、高実のスマホが突然鳴り出した。
高実「ん?」
そして高実はスマホをポケットから取り出した。その相手は見城であった。
高実「・・・はい、たか・・・。」
するとスマホから見城の慌てた声が、スタッフにも聞こえた。
見城「すまん!今どんな感じだ!?」
その様子に高実も少し動揺して、こう言い返した。
高実「あ、ええっと、・・・今第二試合が終わりましたけど、・・・何かあっ・・・。」
見城「そうか!ああ、あのさ!・・・悪いんだけど!メインをもう少し遅くできないか!?」
高実「遅く?・・・あ、その、・・・どのくらいに?」
見城「そうだな!十分、十五分くらい!今立浪選手にも言って来たから!頼む!」
高実は困惑しながらも取り合えず伝えた。
高実「・・・わ、かりました。でも、何かあっ・・・。」
と高実が言いかけた時に、見城が畳みかけるように言った。
見城「おしっ!すまん!ありがとう!頼んだぞ!」
と言って見城は電話を切った。まだスマホを耳に当てていた高実は唖然としていた。その様子にスタッフは高実に尋ねた。
スタッフ「・・・え?メインが遅れる?って事ですか?」
スマホを耳から離して、スタッフを見つめながら高実は答えた。
高実「・・・ああ、そうなる。・・・でも、どうする?十分、十五分を?」
スタッフ「・・・さあ?どうしましょう?」
高実「・・・この間休憩するにも、流れ的に中途半端だぞ!・・・う~ん。」
高実はもちろんの事、スタッフも渋い表情をして、苦慮していた。
生徒k「あとはメインか。あっという間だな。」
生徒P「あれ?そう言えば先生は?」
生徒S「あ、本当。いないな。」
生徒L「・・・もしかして、やるかもな。試合。」
生徒О「だったらもうやってるだろ?メインだぜ。あとは。」
生徒k「でもよ、この、キフチュー仮面って誰なんだ?」
生徒S「・・・さすがにメインは、・・・無理だろ。」
生徒たち「・・・・・・・。」
リングアナ「あ、ええ、・・・只今第二試合が終わりまして、この後第三試合、本日のメイン
イベントとなりますが、訳あって急遽、その前にエキシビジョンとして、
十五分間の、六人参加によるバトルロイヤルを、行いたいと思います!」
それを聞いて雰囲気が盛り上がった。
生徒P「これだ、これだよ、きっと!」
生徒S「ああ、そうだ!ここで出てくるんだな!」
生徒k「なかなか、いい演出するじゃん!さすがだな!」